Sohatsu Eyes
風景の眺め方
2004年11月24日 山田 敏一
風景を見るときはなるべく遠くから、全体が見えるところから見る。そして、最初は車などを使って少し早めに、次に、自転車や歩くことで時間をかけて見る。 こうしたことをすると、最初に全体の変化や流れが、次に細かなところや見落としていたところに気がつくことがあります。
これらは、もうずいぶん前の話になってしまいますが、火山地質学を専攻していた頃に身についたことだと思います。当時の記憶を遡ってみると次のようになります。
まず、限られた時間で調査を実施するために、航空写真や地形図、地質図などで事前の計画を作ります。次に、現地調査では、海岸や道路を作るために切り開かれた露頭を観察することになりますので、観察すべき露頭は自動車などを使って比較的広い範囲を動き回って、ピックアップします。最後の露頭の観察は、たいていの場合、自分の足だけが頼りになります。
火山活動によってできた地形・地質というのは、一見するとただの岩石の塊や壁にしか見えないのですが、少し離れて全体をよく観察してみると、岩石が冷え固まった時間や環境の違いによってできた特徴に気がつきます。それから、露頭に近づき、ハンマーを片手に石を採取し、ルーペで鉱物などを観察することで、その露頭を構成している岩石の種類などを観察します。最後に、それらができあがるまでの順番(時間)を想定すると、ある一定の仮説にたどり着くことになります。そういった仮説が周辺の露頭でも成り立つのかといった目で、順次露頭を観察していくことを繰り返します。
改めて当時やっていたことを思い出してみると、現在の仕事でもいくつかの共通点があるように思います。
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。