コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

Business & Economic Review 2004年01月号

【REPORT】
わが国におけるIT人材活用の現状と課題-アメリカのITスキル評価スキームからみたわが国の課題

2003年12月25日 星貴子


要約
  1. IT先進国であるアメリカは、IT革命の進展に伴って深刻なIT人材不足に直面したものの、その問題を克服し、今日でも強力な国際競争力を維持している。これは、国内外のIT技術者を企業ニーズに応じ柔軟かつスピーディに活用してきたためである。
    このような人材活用を可能にしている主因に、ニーズに応じた人材か否かを評価する制度、いわゆるITスキル評価スキームがある。同国のITスキル評価スキームを整理すると、人材評価の核となるa.スキル標準と、これを支える二つのシステム、すなわち、社会ニーズに応じた技術者が育成されているかを判定するb.技術者教育の評価認定制度と、データベースやインターネットなど特定の分野に関する知識・技術のレベルを判定するc.ITスキル資格試験、になる。
    アメリカでは、このようなITスキル評価スキームのもと、IT技術者に必要とされる知識や技術、および技能など様々な能力が、実際のIT業務の内容にあわせて明確にされている。さらに、急速な技術革新や人材活用の国際化などの環境変化がスピーディにスキームに採り入れられている。こうしたスキームが、アメリカ企業が国内のみならず、海外の人材も迅速かつ的確に獲得し、事業をスムーズに展開出来る基盤となっている。

  2. 翻って、わが国では、経済産業省が中心となり、ITスキル評価スキームの整備を進めているものの、アメリカに比べて必ずしも本格的に機能しているとはいえない。ITスキル評価スキームの実効性を高める必要があるが、そのための主なポイントを整理すると、次の2点となる。
    第1に、最も重要なポイントは、スキームを普及、定着させることである。普及を促進させるためには、(i)利便性を高める、(ii)産業および社会ニーズを迅速に取り込むなど、スキームが抱える課題を早急に解決することが重要である。
    第2のポイントは、スキームの国際化である。どの国で事業展開しても、どの国の技術者を活用しても、同じ基準でスキル判定が出来るよう、スキームを早急に整備する必要がある。このための方策としては、スキルレベルの判定基準を共通化することなどが挙げられる。人材獲得の対象範囲がさらに拡大することを考慮すると、欧米先進国のみならず、アジア諸国やオセアニアなど幅広い国を対象に、スキームの国際化を進めていく必要がある。
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ