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10月20日東京大学の産業総論という授業で講義させていただきました。
2004年10月26日 井熊均
「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2004/10/26)

毎年、講義のテーマを何にしようかと頭を巡らせます。今年は、「Only One からNo.1へ」という題にしました。敢えて昨今世間で言われていることと逆のテーマにしたのは理由があります。先日、大リーグ記録を塗り替えたイチローのインタビュー番組が放送されていました。これだけの大選手ですから30そこそことは思えない含蓄のある言葉に満ちた番組でしたが、その中でこの日のテーマに通じる話がありました。今年の4月、イチローは打率2割5分程度の不振に陥っていました。5月になり打率は回復し、8月頃には絶好調となったのですが、打率は同じようでも5月のフォームと8月のフォームでは大きな差があるといいます。イチロー曰く、8月のフォームは「子供の頃バットを振っていた感覚を思い出す」ものであるそうです。それだけ自分自身にとって自然なフォームであった、ということでしょう。これこそ、本当のOnly Oneといえます。しかし、忘れてはいけないのは、そのフォームに至るまで彼ほどの天才をして大変な量のトレーニングと不安な日々を超えてきたことです。高みを目指すことの結果として、自分に最も合ったフォームに至ることができたのです。今回のテーマで言いたいのはこのことです。努力をしないで安易に自分流でいいと言うのではなく、徹底的に何かを目指すことの境地としてOnly Oneが存在すると考えて欲しい、ということです。その意味で、今回のテーマにあるOnly OneとNo.1は表裏一体の関係にあります。まずは大志を抱け、です。

たくさんの学生が真剣な眼差しで1時間半の講義を聴いてくれます。
[写真左]
黒板を使って、発想力のイメージを説明しているところです。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。