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出張でフィラデルフィアに行ってきました。フィラデルフィアはアメリカの最初の首都が置かれた古い町で、歴史のある建物が町中に点在しています。建築に興味のある人なら一日中歩いていても楽しみが尽きないでしょう。
2003年10月15日 井熊均
「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2003/10/15)

建築に興味のある人なら一日中歩いていても楽しみが尽きないでしょう。写真にあるシティーホールなどは実に立派な建物です。
しかし、考えて見ると、日本はアメリカとは比べ物にならないくらい長い歴史を持っているのに、我々の周りには歴史を感じさせる建物が少ないのは何故でしょう。戦災にあったことも理由でしょうが、それにしても後世に伝えたいと思う建築物が少ないのではないでしょうか。
ドイツは日本と同じように大きな戦災を受けました。戦争中、連合軍がドイツに投入した戦力は日本の何倍にもなると言われますから、町並みの破壊は相当なものがあったはずです。しかし、戦後ドイツ人はできる限り戦前と同じ町並みを再現することに努力したといいます。

最近、PFIなどで公共施設が建設されることが多くなっています。公共投資を効率化することは重要ですが、効率的に作るべきものと、資金を投じてでも高い質を維持すべきものの区別を見失うことがあるようではいけません。
改革とは残すべきものが何かが分かっていてこそ、実りあるものになるからです。海外を旅して見えてくる新しい日本の方途があります。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。