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IBMを再生したルイス・ガースナー氏の書かれた「巨像も踊る」 を読まれた方は多いと思います。 読後の感想はいかがでしたでしょう。
2003年02月25日 井熊均
「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2003/02/25)
IBMを再生したルイス・ガースナー氏の書かれた「巨像も踊る」 を読まれた方は多いと思います。
読後の感想はいかがでしたでしょう。
個人的には、衝撃を受けるような部分は少なかったものの、 読み終わると高い納得感が得られる本でした。
企業経営の現場で、やるべきことをきちんとやり遂げる、という王道とも言うべき姿が見られた気がしたからです。
考えてみると、日産を再生したカルロス・ゴーン氏が行った施策も、思いもつかないようなものは少なく、やるべきことをいかに 実行できるかに真髄があったように思います。
これまで、何冊かの本の中で、日本が本当に再生した時には、「老獪さは疎んじられ、青臭さが尊ばれるようになる」と書きました。 多少の誇張を含めた表現ですが、言いたいことは、「過去に縛られずに本質を踏まえた合理的な考え方が尊重されるようになる」 ということです。
これまで、日本では達人の奇策によって苦境を挽回する様が好まれるような風潮があったと思います。
しかし、現実の世界で求められているのは、奇策ではなく、合理的な考えに裏付けられた計画とその実行を支える精神力でしょう。
そうあれば、若くても、合理的にものを考え実行する力さえあれば、 高い成果を上げることができます。
欧米で40代の優れた経営者、 あるいは国のリーダーが活躍しているのは、物事を進めるための 本質を評価する何かがあるからかもしれません。
いずれにしても、世紀末に現れた2人の卓越した経営者に、経営の王道と成果を出すための厳しい現実を見せてもらった気がします。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。