Business & Economic Review 2009年12月号
【特集1 財政緊縮下における自治体の公営企業改革】
公営企業改革の焦点
2009年11月25日 青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科長・教授 鈴木豊
目次
- 公営企業のパブリックアカウンタビリティとリスクの体系
- 公営企業の経営リスク
- 資金不足比率の課題
- 公営企業のリスク低減対策
- 公営企業の公会計・公監査改革の方向
むすび
はじめに
はじめに
平成21年10月初めに、平成20年度決算に基づく健全化判断比率・資金不足比率の速報版が総務省より発表された。公営企業会計の19年度決算は156会計であったが、61会計が財政健全化が急務のイエローカードに相当する経営健全化基準(資金不足比率)以上となり、資金不足のある公営企業会計は、19年度は256会計であったが、20年度は202会計となった。このように公営企業は、現在厳しい経営・財務環境にあり、これを乗り切るために何がなされなければならないか。また、資金不足比率の算定の信頼性を担保するためにはどうあるべきか。本稿では喫緊の公営企業の改善・改革のための公営企業の経営・業績管理上のリスク識別と評価の論点を指摘することとする。