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仕事で何年かぶりにアメリカに行ってきました。オバマ政権に代わり、この国でも、いよいよ地球温暖化抑制のための本格的な取り組みが進められようとしています。

2009年11月10日 井熊均


「創発戦略センター」所長の井熊均です。(2009/11/10)
仕事で何年かぶりにアメリカに行ってきました。オバマ政権に代わり、この国でも、いよいよ地球温暖化抑制のための本格的な取り組みが進められようとしています。これまで技術やビジネスで数多くの革新を成し遂げてきたアメリカですから、京都議定書の合意以降10年余の出遅れの多くを取り戻すだけの成果を示してくれることでしょう。

一方で、温暖化対策では、アメリカは他の国にも増して重い課題を背負っています。
飛行場から都市に向かうと、自然豊かな郊外の向こうに摩天楼がそびえる、というアメリカの典型的な風景に出会います。ウィークデーは近代的なビルで働き、週末や休日はゆったりとした空間でくつろぐことができる、という生活を多くのアメリカ人が享受し、我々も長い間憬れてきました。どこの都市でも見られる郊外とダウンタウンのコントラストはアメリカが全土で豊かさを追求してきたことの結果であるのです。そうした価値観の転換をどこの国よりも重く負っているところにアメリカの難しさがあります。

技術的に言えば、革新的な蓄電技術や省エネルギー技術が開発されれば、自動車中心の生活や日本の3倍もあるような家に住まう生活スタイルを維持することができる、と言える面があるかもしれません。しかし、外科手術のような取り組みだけで人類が抱える問題を解決することはできません。何よりも求められているのは、身についた贅肉を溜め込んだ内的な原因の見直しなのです。これまで豊かさの象徴であったアメリカは、過去からの転換ができるか否かを問う際の新たな象徴でもあるのでしょう。
そう考えると、オバマ政権の政策の成否を決して他人事と見ることはできないのです。
[ Ikuma's Photo ]
[写真上・下]天津で行われた生態城(環境都市)のパネルディスカッションで登壇しました。
※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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