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2005年02月18日 |
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2004~2005年度改訂見通し |
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10~12月期GDP-3四半期連続のマイナス成長 |
10~12月期の実質GDPは前期比▲0.1%(年率▲0.5%)と、3四半期連続のマイナス成長(7~9月期も下方修正)。設備投資・政府支出が増加したものの、個人消費が減少し、純輸出もマイナス寄与となったことが主因。 |
(1) |
個人消費:2四半期連続の減少。雇用・所得環境の悪化には歯止めがかかったものの、 ①台風・洪水・地震などによる支出減少、②暖冬による冬物商品・サービスの不振、③生鮮食品価格の上昇、④年金保険料の引き上げ、定率減税の縮小などによるマインド悪化、などが下押し要因として作用。また、家計調査のサンプル要因による下振れも強めに現れた可能性。 |
(2) |
設備投資:特殊要因(*)を除けば10四半期連続の増加。もっとも、鉱工業生産の調整局面入りを背景に製造業で弱含んだたため、増勢は鈍化傾向。ただし、1次速報では過小推計される傾向があるため、法人企業統計が織り込まれる2次速報では上方修正含み。 |
(3) |
純輸出:2四半期連続のマイナス寄与。輸入が高い伸びを維持した一方、輸出が、欧米向けの増勢鈍化に加え、アジア向けも牽引力が低下したことが主因。
(*) 2004年1~3月期に石油公団が民間子会社から資産を購入したため、GDP統計での設備投資が減少した。 |
3四半期連続のマイナス成長だけを捉えれば、「景気後退局面」と判断しても差し支えない状況に。もっとも、①異常気象などの特殊要因による押し下げ圧力が大きかったこと、②減少幅自体小さく、今後公表される統計で「横ばい」状態にまで上方修正される可能性があること、③他の景気指標も一方的に悪化しているわけではないこと、などを勘案して、「中期的な回復トレンドのなかでの一時的な調整局面」という判断は変わらず。
なお、GDPデフレーターは前年同期比▲0.3%と下落幅が大きく縮小。デフレ圧力は減退する方向にあるものの、生鮮食品価格、建設資材価格、公務員給与などがデフレーター押し上げ要因として働いていることを勘案すると、このまま一方的にGDPデフレーターが上昇に転じていくと考えるのは早計。 |
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2005年前半は、2004年半ばからの調整局面が持続する見通し。①電子部品・デバイス分野の在庫調整、②アジア向け輸出の牽引力低下、③年金保険料引き上げ、配偶者特別控除廃止など家計負担増、などを背景に、景気の踊り場的な状態が持続。もっとも、①設備投資が緩やかな回復を続けること、②公共投資の減少ペースが一時的に縮小するとみられること、③10~12月期の景気を押し下げた異常気象要因が剥落すること、などから、小幅ながらもプラス成長に回復する見通し。
2005年半ばごろから、回復に向けた動きが徐々に強まっていく見通し。すなわち、①電子部品・デバイス分野での在庫調整が一段落し、鉱工業生産が増加に転じること、②欧米景気の堅調、アジア諸国の成長持続により輸出が持ち直すことから、企業部門に牽引されるかたちで、景気回復傾向が明確化していく見通し。
もっとも、その後の景気回復の勢いは、①中国経済・米国経済の回復ペースが、2003~2004年のような高い成長率からは鈍化するとみられること、②雇用者所得が緩やかに回復するとはいえ、年金保険料引き上げなどの家計負担が相次ぐなか、可処分所得の回復感は乏しい状況が続くこと、などを勘案すれば、緩やかなペースにとどまる見通し。
なお、前回(12月10日)発表に比べると、2004年度の実質GDPは▲0.6%ポイントの下方修正。2005年度の実質GDPは▲0.2%の下方修正。ただし、今回の修正は、過去3四半期の下方修正を織り込んだことに加え、GDPデフレーターの予測値を上方修正したことによるものであり、先行きの見方は基本的に変更なし。 |