ニュースリリース
地方自治体における
第三セクター等改革推進債の活用意向について
2009年11月04日
平成21年4月1日に施行された「地方交付税法等の一部を改正する法律」により、第三セクター等の整理または再生に伴い自治体が負担する必要のある経費については、平成21~25年度の5年間において地方債の起債(いわゆる「第三セクター等改革推進債」〔以下、「推進債」という。〕)を認める特例規定を設けるよう、「地方財政法(昭和23年法律第109号)」の一部が改正されました。
本調査では、推進債の制度化を踏まえ、自治体における第三セクター等の改革の現状及び推進債の活用意向の現状を把握することにより、第三セクター等の改革に果たす推進債の意義・役割について検討し、今後の改革の方向性についての提言を行いました。
概 要
<アンケート結果概要>
- 推進債の活用意向について、推進意向が高い自治体は合計59団体(10.1%)。都道府県、政令市において検討が先行。
- 「今後、検討する予定がある」は82団体であり、制度の普及に伴って今後活用意向が高まる可能性もある。
- 推進債の活用対象は、地方三公社(主に土地開発公社)に集中。土地開発公社の数が1076団体と地方道路公社の42団体に比べて多いこと、さらには自治体にとって土地開発公社の処分が急務として課題が認識されていること等が背景にあると考えられる。
- 一方、株式会社、財団・社団法人の活用意向の割合は低水準。株式会社は赤字法人が全体の4分の1程度であること、財団・社団法人は事業性について厳しく問われる位置づけにないこと等から、それぞれ改革の必要性が顕在化しにくいと考えられる。
<提言概要>
- 株式会社、財団・社団を中心に、「事業再生」のための推進債の活用促進策が必要。
- 償還の負担が重いため、推進債を活用すると財政健全化指標が赤信号になる自治体も存在。財政健全化の趣旨を歪めることは厳に慎みつつも、改革が進むように償還期限の延長や交付税措置の充実なども視野に入れた検討の余地あり。
- 財政健全化指標である「将来負担比率」は、三セク等の改革の必要性を顕在化させるには不十分。三セク等の破綻時における自治体財政に与える影響の大きさなど、危険性を具体的に示す新たな指標によって改革機運を醸成する必要あり。
調査方法等
- 調査対象
(1)第三セクター等(株式会社、財団・社団法人、地方三公社、独立行政法人等)に出資している都道府県、市区町村1,581団体。
(2)損失補償、債務保証を行う法人、及び地方道路公社、土地開発公社に出資している都道府県、市区町村1,134団体。 - 調査内容
(1)第三セクター等の改革の状況について
(2)第三セクター等改革推進債の活用意向について - 調査期間 平成21年8月
- 回収数
調査対象(1) 797団体(回収率50.4%)
調査対象(2) 594団体(回収率52.4%)
本件に関するお問い合わせ先
株式会社 日本総合研究所 総合研究部門 和佐田(わさだ)
E-mail : 200010-info@ml.jri.co.jpp
TEL : 03-3288-4525