コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

Sohatsu Eyes

公共サービス提供の改革(第5回)

2005年01月25日 古澤 靖久


公共サービス提供の改革(第5回) (2005/01/25) 古澤 靖久
PPP担当マネージャーの古澤です。
VFM(バリュー・フォー・マネー)とは?という議論からはじまり、 要求水準(原則1)、リスク分担(原則2)と見てきましたが図表1に見るようにVFMの4原則における次の原則は「競争を通じたコストダウン」です。

従来の公共調達の方式である競争入札は価格を競うものですから、購入するものが特定できているときに有効です。しかし、PFIで調達するような「複雑で不確定な要素をもったサービス」を対象としてはうまく機能しません。最もサービスの要素が多い病院PFIを例に取ってみますと、不確定という点では、例えば(1)事業者選定時点では購入するもの(例:医療機器、薬品、診療材料)が確定しておらず、(2)購入するもの(使用する薬品)が、時間がたつにつれて変化していく、ということがいえます。

また、複雑という意味では、大変に広範な範囲の業務を束ねるという特徴もありますが、購入する対象が物ではなくサービスであることから、同じ業務を遂行するにも複数のサービスの実施方法(例:院内物流の仕組みとしてブランチラボを採用するかとFMSを採用するか?)とその対価があり、そういった組み合わせの集合からの選択という性格があるのです。
従って、価格だけでなく、非価格要素(質)を的確に評価することが肝要です。質の評価の方法にどんな場合でも適用できる確立した方法論が存在するわけではありません。さまざまなやり方がありえますが、図表2に最近意識的に検討している質の評価の組み立て方の背景にある考え方を示します。図表2は他愛もないポンチ絵ですが、質の評価の際に、まずアイデア(創意工夫)を評価する、という議論になりますので、出発点を(1)アイデアにしています。しかしながら、ただの「アイデア(創意工夫)」はふわふわとしたとらえどころのないもので、それを実行するための実施方法(絵では手押し車に乗せてみました)が必要です。しかし、実施方法(手押し車)も不安定であり、人であったり組織であったり手押し車を押してくれる推進力(絵ではヒトにしています)によって立っています。この推進する組織にはさまざまなスキルがあるものと想定していますが、実際に力強く推進するかどうかは、その実施体制の「意志(Will)」に依存します。ポンチ絵は平坦な道の上に置かれていますのでその場合さほどの苦労はないでしょうが、もし道に傾きがついて坂となったときは、力強く押し続けるのは並大抵のことではありません。まさに意志があるかないかがポイントになります。 このポンチ絵で言いたかったことは、アイデアや実施方法、実施体制は決して個々ばらばらな評価要素ではなく連関しているということと、「アイデア(創意工夫)」という一見客観的に評価できそうな要素も突き詰めていくと「意志」といった主観的要素が最も強い要素が支えているということです。

 ※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
先端技術リサーチ
カテゴリー別

業務別

産業別


YouTube

レポートに関する
お問い合わせ