2004年12月03日 |
日銀短観(12月調査)予測 |
日銀短観(12月調査)予測 |
12月15日発表予定の日銀短観(12月調査)は、わが国景気が調整局面に入っていることを確認する内容となる見込み。もっとも、景気の基調はなお底堅く、大幅なマインド悪化は避けられる見通し。 12月の業況判断DIは、全規模・全産業ベースで9月対比横ばいとなる見通し。製造業・大企業では、輸出の増勢鈍化、電子部品・デバイスでの生産調整などを背景に、7四半期ぶりに悪化に転じると予想。一方、非製造業では、国内での建設投資・個人消費の堅調を受けて、小幅改善となる見通し。3月見通しでは、内外経済の双方で先行き不透明感が強まることから、製造業・非製造業ともに慎重姿勢を強めると予想。 2004年度の設備投資額は、全規模・全産業ベースで前年度比+4.0%と、2年連続の増加となる見通し。製造業で大幅な増加となるほか、非製造業でも下げ止まりから持ち直しに転じる見込み。もっとも、製造業・大企業では一部設備投資を先送りする動きが始まるなど、設備投資の勢いが鈍化傾向にあることが示される見通し。 今回の短観は、これまでの「企業部門主導の景気回復」が踊り場を迎えていることを示すもの。もっとも、[1]アジア向け輸出の増勢持続、[2]企業部門の収益体質の回復、三つの過剰問題の改善、[3]所得下げ止まりなどを受けた個人消費の底堅さ、などを勘案すれば、景気が一方的に悪化している状況ではないと判断。現局面は、2002年度後半にみられたような「回復トレンドのなかでの一時的な調整局面」の状況に近く、2005年後半には、調整局面から脱して緩やかな回復に向かう見通し。 もっとも、企業部門から家計部門への所得を通じた波及は依然として脆弱であるため、景気の足腰の強さを過信することは禁物。政府としても、家計に対するマイナス・インパクトを強めるような政策は最小限に抑えるべき。 1.業況判断DI (1)全規模・全産業の12月実績値は、前回調査(9月)対比+0%ポイントと横ばいにとどまり、企業部門の景況感が踊り場にあることを示す見通し。もっとも、前回見通し対比+2%ポイントの上方修正であり、企業マインドが悪化傾向に転じたことを意味するものではない。 (2)製造業・大企業では、9月調査に比べて▲1%ポイントと、7四半期ぶりの悪化となる見通し。輸出の増勢鈍化、電子部品・デバイスでの生産調整、原材料価格の上昇、円高進行など、それぞれ単独でのマイナス影響は小さいものの、複数の要因が重なることによって、下押し圧力が強まった見込み。とりわけ、これまで生産を牽引してきた電気機械・一般機械で業況判断がピークアウトする可能性大。もっとも、アジア向け輸出が増勢を維持しているほか、素材産業では引き続き好調を維持するとみられることから、業況判断DIの大幅悪化は避けられる見通し。 一方、非製造業では、改善傾向が持続する見込み。[1]工場建設の増加や、一戸建て住宅・マンション需要の好調、[2]所得環境の底打ち、消費者マインドの改善などを背景とした個人消費の持ち直し、などを背景として、業況判断DIは緩やかに改善する見通し。 (3)3月見通しでは、製造業を中心に、引き続き慎重姿勢が維持される見通し。輸出環境の不透明感の強まりに加え、製造業の生産調整も当面は続くことから、製造業での悪化が見込まれるほか、非製造業でも、[1]製造業活動に連動している業種でのピークアウト、[2]家計負担増への懸念を背景とした個人商品関連業種の慎重スタンスの強まり、などを背景に、先行き悪化を見込む企業が増える見込み。 |
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2.設備投資計画 (1)2004年度の設備投資計画額は、全規模・全産業ベースで+4.0%と、中堅・中小企業を中心に9月対比上方修正されるものの、一部には増勢鈍化のシグナルも現れる見通し。 (2)製造業では、電子部品・デバイスでの生産調整や、海外経済の不透明感台頭などを受けて、大企業では設備投資を先送りする動きが生じ、小幅下方修正となる見込み。もっとも、鉱工業生産が明確に減少しているわけではないため、高い伸びは維持する公算大。大企業ほど計画が固まっていなかった中堅・中小企業では、若干上方修正される見通し。 (3)非製造業では、製造業に比べ伸び率は大幅に低いものの、総じて堅調な計画となる見込み。堅調な個人消費、民間企業・個人による建設投資活発化などを受けて、小売・サービス、建設業などで底堅く推移するほか、中小企業の設備投資回復を受けてリースなどでも増加する見込み。 |
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