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2004年11月16日

2004~2005年度改訂見通し

7~9月期GDP-実質ゼロ成長で景気は調整局面に

 7~9月期の実質GDPは前期比+0.1%(年率+0.3%)と、実質的にゼロ成長にまで鈍化。個人消費は堅調を維持したものの、設備投資と輸出が減少に転じたことが主因。

(1) 家計部門:個人消費は、雇用者報酬が下げ止まり、消費マインドが持ち直すなか、年率+3%ペースを超える伸びが持続。オリンピック前のデジタル家電販売と猛暑関連需要がプラス要因として働いた模様。もっとも、8~9月にかけては、オリンピック放映と残暑により、外出機会が減少し、秋物商戦が不振だったというマイナス要因があったことを考えると、個人消費の基調は数値以上に底堅い可能性も。住宅投資は、金利上昇による駆け込みとみられる持ち家着工の急増を受けて、3四半期連続の小幅増加。

(2) 設備投資:4四半期ぶりの減少。ソフトウエア投資が減少したほか、天候不順で建設投資も弱含んだ模様。もっとも、建築関連資材価格の上昇で実質ベースの投資額が目減りした面も。資本財出荷、機械受注、日銀短観の設備投資計画などでは、設備投資の増勢持続が示唆されているため、設備投資の増加基調は崩れていないと判断。

(3) 純輸出:8四半期ぶりに前期比マイナス。輸出が、米国向け自動車、EU向け船舶が不振で伸び率が鈍化したことに加え、旅行などサービス支払いの拡大により輸入の増勢が持続したことが背景。

なお、GDPデフレーターは前年同期比▲2.1%と下落幅が大きく縮小。この背景として、[1]建設資材価格の上昇、[2]在庫品価格の上昇、[3]原油価格の上昇ペース鈍化、[4]公務員給与の下げ止まり、などを指摘可能。
展望-2005年前半にかけて一時的な調整局面に

 4~6月期、7~9月期の2四半期連続の低成長は、これまで見込んでいた2005年前半の調整局面が前倒しで現れたと解釈。また、素材価格上昇などの影響によりGDPデフレーターの下落幅が縮小し、実質ベースの回復力が抑制されたという側面も大。したがって、景気の現局面は、「後退局面」ではなく、2002年度後半にみられたような「回復トレンドのなかでの一時的な調整局面」と判断。

 2004年度後半を展望すると、輸出・鉱工業生産の増勢鈍化を主因に景気の減速傾向が続くものの、7~9月期のようなゼロ成長からは脱し、小幅ながらもプラス成長に持ち直す見通し。ポイントとなるのは、2004年度前半に事実上ゼロ成長となった設備投資の動向であるが、[1]他の設備投資関連指標は設備投資の増勢持続を示唆していること、[2]2003年7~9月期にもみられたように、設備投資計画を先延ばしする企業が増えた可能性があること(機械受注残高が増加傾向持続)、を勘案すれば、設備投資の回復基調は崩れていないと判断。今後、2次速報で上方修正される可能性があるほか、10~12月期、2005年1~3月期も設備投資は緩やかな増加を続けると予想。

 2005年度を展望すると、年度前半は、[1]電子デバイスを中心とした生産調整に加え、それに関連する設備投資の弱含み、[2]家計負担増による個人消費の牽引力低下、を背景に、調整局面が持続する見通し。
 もっとも、[1]中国経済の成長持続により輸出の増勢は続くこと、[2]国内でもリストラ進展などを背景に企業部門の足腰が強まっていること、を勘案すれば、景気が大きく落ち込んでいく事態は回避される見通し。今回の調整局面は2005年半ばごろに終わり、2005年度後半以降、企業部門に牽引されて持ち直しに向けた動きが強まる公算。

 なお、前回(9月14日)発表に比べると、2004年度の実質GDPは▲0.8%ポイントの下方修正。2005年度の実質GDPは、年度後半の回復を織り込んだため変更なし。
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