2004年11月01日 |
2004年7~9月期GDP統計予測 |
1.7~9月期は成長率がやや持ち直し 2004年7~9月期の実質GDPは前期比+0.7%(年率+2.8%)と、6四半期連続のプラス成長となった見込み。2003年度後半にみられた高成長からのペースダウンは明瞭であるが、個人消費・設備投資の増勢持続を主因に、4~6月期に比べてやや持ち直し。 |
【需要項目の動き】 |
イ) | 個人消費 雇用者報酬が概ね下げ止まり、消費マインドが持ち直すなか、基調としては底堅さが持続。7月にはデジタル家電販売・猛暑関連需要が大きなプラス要因として働いたものの、8~9月には、オリンピック開催、残暑の持続などにより、外出機会が減少したほか、秋物商戦の不振がマイナス要因として働いたため、小幅な増加にとどまった。 |
ロ) | 住宅投資 3四半期連続の増加。分譲住宅の牽引力は低下したものの、持ち家着工が、金利上昇による駆け込みとみられる動きにより、7~8月にかけて大きく増加。 |
ハ) | 設備投資 4四半期連続の増加で、増勢もやや拡大。生産・稼働率の回復を受けて、製造業を中心に設備投資意欲が強まったほか、建設投資が、製造業での工場建設に加え、流通施設を中心に非製造業部門でも増加。 |
ニ) | 政府支出 政府消費は、公務員給与の減少幅が縮小したほか、医療・介護費の拡大により増勢が持続。公共投資は、地方を中心に減少傾向が続いたものの、減少幅は前期に比べ縮小。 |
ホ) | 輸出 11四半期連続の増加となったものの、増勢は鈍化傾向。アジア向けは堅調な伸びが続いたものの、米国向けの自動車輸出、EU向けの船舶輸出などが弱含んだことが主因 。 |
へ) | 輸入 内需が再び拡大に転じたことから、アジアからの財輸入が増加したことに加え、海外旅行増加に伴うサービス輸入も拡大。 |
ト) | デフレーター [1]建設資材価格の上昇、[2]在庫品価格の上昇、[3]原油価格の上昇ペース鈍化、[4]公務員給与の下げ止まり、などを背景に、下落幅が縮小 。 |
2.景気はさらに減速するも、後退局面入りは回避 2004年度後半を展望すると、これまで景気を牽引してきた輸出・設備投資の牽引力が低下傾向をたどることから、景気減速が一段と明確化する見通し。 もっとも、[1]中国経済の成長持続によりアジア向け輸出が堅調を維持すること、[2]所得環境の底打ち、消費マインドの持ち直しなど、家計を巡る環境は決して悪くないこと、[3]企業部門でも素材・自動車などでは好調を維持していること、などを勘案すれば、景気が失速して後退局面入りする事態は回避されると判断。 |
以上 |