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2004年08月18日

2004~2005年度改訂見通し

4~6月期GDP-設備投資横ばいを主因に成長鈍化

 4~6月期の実質GDPは前期比+0.4%(年率+1.7%)と、5四半期連続のプラス成長ながら、予想よりも低い成長率となった。輸出・個人消費は堅調に回復したものの、設備投資が横ばいとなったことが主因。

(1) 家計部門:個人消費は、雇用・所得環境が緩やかな持ち直しに転じ、消費マインドの改善が進むなか、[1]デジタル家電需要の堅調持続、[2]外食・旅行・金融などサービス支出の増加、などを背景に増加傾向が持続。もっとも、家計調査の消費支出がサンプル入れ替えなどにより大きく上振れたという要因があるため、実態以上に強めに出た可能性も。住宅投資は、一戸建てが弱含んだものの、首都圏でのマンション着工の増加により小幅な増加。

(2) 輸出:世界的に景気回復が続くなか、4四半期連続の年率二桁増加。アジア向けが、電子デバイス・音響機器部品などの生産財に加えて、一般機械といった内需向け輸出も増加したほか、米国向け・欧州向けも景気回復に連動して増加。

(3) 設備投資:前期比横ばいとなったものの、[1]GDPベースの設備投資は四半期ごとのブレが極めて大きいこと、[2]機械受注・日銀短観などでは製造業主導の回復が示されていること、などを勘案すれば、設備投資が回復傾向を続けているという判断は変わらず。

 なお、GDPデフレーターは前年同期比▲2.6%と大幅な下落が続いたものの、その内訳は大きく変化。すなわち、建設コストの上昇等を背景に設備投資・公共投資デフレーターの下落幅が縮小する一方、原油価格の上昇を主因に輸入デフレーターが大きく上昇(GDPデフレーターの押し下げ要因に)。

展望-2005年度に向けて景気は減速へ
(1)2004年度を展望すると、以下の3点を背景に、景気回復傾向が持続する見通し。

[1]欧米・アジア経済の回復が続くことから、輸出による景気下支え効果が持続。とりわけ中国向け輸出は、「世界の工場」としての地位確立とともに、特定産業での設備投資以外は内需も堅調を維持することから、素材・部品・資本財と幅広く増加する見通し。

[2]設備投資は、製造業を中心に高い伸びが続く見通し。日銀短観の設備投資計画や機械受注では高い伸びとなる一方で、2004年上期の設備投資が予想外に伸び悩んだことから (名目ベース)、その反動で当面は上振れしやすい状況が続く見通し。

[3]個人消費は、雇用・所得環境の悪化に歯止めがかかったことに加え、消費性向の高い高齢者層による下支えも期待できることから、底堅く推移する見通し。デジタル家電など、企業の新製品開発努力が消費意欲を喚起する効果も、当面は持続する見通し。

(2)原油価格の上昇は、最終財価格への転嫁が困難な状況下、企業収益の押し下げ要因として働く公算。もっとも、売上増による増益効果により吸収可能であり、減益転化は回避される見通し。ちなみに、原油価格が現状の1ドル=40バレル台前半で推移した場合、2004年度のコスト増加分は1兆円強と試算されるが、これは売上高が約0.5%増加すれば相殺可能。

(3)以上の結果、2004年度の成長率を実質3.9%(0.2%ポイント下方修正)、名目1.3%(0.8%ポイント下方修正)と改定。実質ベースの下方修正は、[1]建築資材価格上昇による設備投資・公共投資の下振れ、[2]名目公共投資の減少加速、が主因。名目GDPの下方修正幅が大きいのは、原油価格上昇による輸入増加の影響のため。

(4)2005年度を展望すると、各社の設備投資前倒しの反動として、今回の景気回復の牽引役の一つであるデジタル関連設備投資の一巡時期が早まると判断、成長率を1%台に下方修正。もっとも、[1]中国経済の成長持続により輸出の増勢は続くこと、[2]国内でもリストラの進展などを背景に企業部門の足腰が強まっていること、を勘案すれば、景気が大きく落ち込んでいく事態は回避される見通し。
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