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2004年06月17日

関西経済活性化に向けて期待が集まる大阪駅・梅田周辺の再開発

【要 約】
1. 関西経済は、2002年初めからアジア向けを中心として輸出が好調に伸び、生産の増加、企業収益の回復、設備投資の積極化という好循環が生まれている。こうした経済指標の改善は、主に景気変動要因によるものであるが、より中長期的な経済再生、地域活性化を目指す取り組みという点でも、成長産業の創出や集客・観光産業の振興に向けて、様々な動きが出てきている。その中で都市再生という面では、大阪駅・梅田北側地域の再開発に向けた機運が盛り上がり始めた。

2. 大阪駅・梅田周辺は関西で最大、また関東と中部を含めても最寄り駅の乗降客数で第3位、百貨店売上高で第2位という巨大な都心型繁華街であり、関西において圧倒的な規模の優位性を有している。大阪駅・梅田北側地域は、再開発地区としてまとまった広さを持つ土地であるが、他の主要な再開発地区と比較して飛び抜けて広大なわけではなく、隣接する大阪駅・梅田周辺の集客力が最大の強みである。

3. 大阪駅・梅田北側地域には、商業、ビジネス、居住・滞在などの機能集約が期待されている。
[1]商業施設は、JR大阪駅改良・新北駅ビル開発計画で百貨店誘致が盛り込まれているが、具体的計画が明らかになっていない梅田北ヤードについても、大阪駅・梅田周辺が持つ飛び抜けた集客力に加えて、再開発によって集いの場としての魅力が更に高まると考えられるため、専門店や飲食店などに一定の面積を割り当てることは十分可能であろう。
[2]オフィスは、大阪では本社機能の縮小、外資系企業の立地の少なさなどを背景に需要面で懐が狭く、複数の大規模プロジェクトが競合した場合、需給バランスへの悪影響が懸念される。大阪駅・梅田北側地域はオフィス街としての可能性も有しているが、再開発にあたっては用途の多様化をはかり、過大なオフィス供給を避ける工夫が必要であろう。
[3]住宅は、従来、都心の利便性を重視する需要が十分に満たされていなかった可能性があるため、立地に恵まれた大阪駅・梅田北側地域の再開発においては、まとまった戸数の住宅供給が期待される。

4.  大阪駅・梅田北側地域の再開発は、規模や所要投資額などの点できわめて大規模になると予想されるが、投資環境に明るさが見られること、都市再開発を金融面から支える仕組みが多様化していることなどは好材料である。ただし、大阪の玄関口の再開発として注目が集まっているために、理想像も高くなっている。大阪の玄関口にふさわしいものとして期待される施設・空間の中に、採算性、収益性で多くを望めないものが含まれる場合には、そのコスト負担の課題が生じる。東京の汐留で行われたような容積率の引き上げは、業務施設や商業施設などの供給増加を吸収できるか否かが問題となる。

5.  欧米では、公的部門が一部関与して民間の投資を誘発する方策としてTIFやギャップ・ファンディングなどがあるが、今後、大阪駅・梅田北側地域の再開発計画が具体的に詰められていく過程でどのような問題点が浮かび上がってくるのか、その解決方法としてTIFやギャップ・ファンディングが適切か、という見極めが必要であろう。公共サービスの提供を計画するにあたって、開発利益の活用でカバーできない部分が生じる場合には、まずはその部分の規模の適正さを再評価すべきであろう。計画を進める場合には、PFIの導入などにより、効率的に事業を行う必要がある。

以上
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