2004年03月19日 |
日銀短観(3月調査)予測 |
4月1日発表予定の日銀短観(3月調査)では、緩やかな景気回復が持続していることを示す内容となる見通し。 3月の業況判断DIは、全規模・全産業ベースで12月対比+3%ポイントと、小幅な改善になる見通し(注)。製造業では、輸出の増勢が持続していることに加え、2月下旬から円安に振れたことから、前回予測対比+4%ポイントの上方修正となる見通し。非製造業でも、製造業の好調が波及しつつあること、建設投資・個人消費が持ち直していることから、緩やかに改善する見込み。 2004年度の設備投資額は、全規模・全産業ベースで前年度比▲1.4%と、3月時点としては比較的高い水準を確保する見通し。輸出増などを背景に一般機械・電気機械が増勢を維持するほか、商品市況強含みを受けた素材産業や通信・情報サービスなどでも回復する見通し。 今回の短観で注目すべき点は、これまで問題とされてきた製造業・非製造業間、大企業・中小企業間での好不調の二極化状態が、緩やかながらも改善に向かっていることを示すとみられる点。すなわち、不振分野といわれてきた非製造業、中小企業でも、①債務・人件費などのリストラが進む一方、②新規分野の牽引力が徐々に高まっていること、を背景に、業況判断DIと設備投資計画は、従来以上に底堅い結果になると予想。 (注)3月8日に公表された、新ベースに基づく再集計結果と比較したもの(以下も同じ)。 |
業況判断DIと設備投資計画に関する当社の予測は次ページ以下の通り。 |
1.業況判断DI |
(1) | 全規模・全産業の3月実績値は、前回調査(12月)対比+3%ポイントと、小幅ながらも改善傾向が持続すると予想。素材価格の上昇や、BSE問題などのマイナス要因があったものの、海外経済の堅調持続、円安進展などが企業マインドの改善に寄与した結果、前回見通し対比+4%ポイントの上方修正に。 |
(2) | 製造業では、前回見通しでは悪化すると予想されていたが、これは、①2003年9月から始まった円高への懸念台頭、②中国での増値税還付率引き下げに伴う輸出減少、などを反映したもの。足元の動きをみると、①為替レートは2月下旬から円安方向に修正されていること、②中国の輸出は1~2月にかけ増勢が鈍化しているものの、海外経済の回復基調はやや強まっていること、などのプラス材料が新たに織り込まれる結果、小幅ながらも改善傾向が持続する見込み。 一方、非製造業でも、BSE・鳥インフルエンザ問題を受けて飲食関連では弱含みとなっているものの、それ以外の業種をみれば、①製造業での生産拡大の影響が波及(運輸、対事業所サービス、リースなど)、②工場建設の増加や、首都圏でのマンション需要の好調(建設・不動産)、③所得環境の底打ち、消費者マインドの改善などを背景とした個人消費の持ち直し(卸・小売)、など、全体的に改善傾向となる見通し。 |
(3) | 6月見通しでも、海外経済の回復傾向が持続すると予想されるなか、企業マインドの改善が続く見込み。もっとも、素材価格の上昇が企業収益の下押し要因として働いていることから、小幅な改善にとどまると予想。 |
日銀短観・業況判断DI予測 |
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2.設備投資計画 |
(1) | 2004年度の設備投資計画額は、景気回復期待の強まりを反映して、3月時点としては比較的高い水準を確保する見通し。 |
(2) | 製造業では、海外経済の回復持続や、デジタル家電市場の拡大を背景に、一般機械・電気機械で積極姿勢が続くとみられるほか、商品市況の強含みが素材産業の能力増強投資を後押しする見通し。これまでの海外生産移転の動きから国内生産へ回帰する動きもみられることもあり、全業種・全規模にわたり底堅い計画となる見通し。 |
(3) | 非製造業でも、総じて堅調な計画となる見込み。個人消費の先行き不透明感が払拭されないことから慎重さは残るものの、製造業の好調が非製造業へも徐々に波及していくことが見込まれるほか、通信、情報サービスなど成長分野の牽引力も高まる見通し。 |
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