2004年02月20日 |
2003~2004年度改訂見通し |
10~12月期の評価-国内民需・外需の両輪で成長加速 |
2003年10~12月期の実質成長率は前期比+1.7%(年率+7.0%)と、景気回復ペースが加速。輸出・生産の急増を受けて企業部門の回復ペースが強まったほか、家計部門でも増勢が高まったことが背景。外需依存度が大きいという点は変わらないものの、デジタル家電を中心に徐々に内需の牽引力も高まる方向。需要項目ごとの動きを整理すると以下の通り。 |
(1) | 輸出:世界的に景気回復傾向が強まるなか、前期比年率+17.9%の大幅増加。とりわ け、アジア向けは、電子デバイス・音響機器部品などの輸出のための中間財に加え て、化学製品・一般機械といった内需向けとみられる輸出も大きく増加しており、生 産拠点としての位置付けだけでなく、最終需要地としての重要性も強まる傾向。 |
(2) | 設備投資:外需・内需の好調に加え、7~9月期に減少した反動という側面も加わっ て、大幅な増加。とりわけ、電気機械・一般機械を中心に、製造業での設備投資の回復 ペースが強まった模様。 |
(3) | 家計支出:個人消費は、雇用・所得環境の悪化に歯止めがかかり、消費マインドが改善 するなか、[1]デジタル家電販売が急拡大したこと、[2]サービス支出も緩やかながらも持 ち直したこと、などを背景に増勢が持続。一方、住宅投資は、首都圏でのマンションが 増勢を維持したものの、全国的に一戸建て着工が大きく落ち込んだことから、再び減少 に転じた。 |
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展望-2004年度後半の調整も軽微にとどまる見通し |
当面を展望すると、以下の3点を背景に、景気回復傾向が持続する見通し。 |
(1) | 欧米・アジア経済の回復が明確化することから、輸出の牽引力が持続。とりわけ、中国 向け輸出は、「世界の工場」としての地位確立とともに、内需拡大の効果も期待できる ことから、素材・部品・資本財と幅広く増加する見通し。 |
(2) | 設備投資は、コンピューターなど資本財価格の下落により、実質ベースの設備投資が大 きく押し上げられる構図が持続。加えて、輸出の牽引力拡大、国内民需の底堅さを背景 に、製造業を中心に名目ベースでも増勢が強まっていく見通し。 |
(3) | 個人消費は、雇用・所得環境の悪化に歯止めがかかったことに加え、消費性向の高い高 齢者層による下支えも期待できることから、底堅く推移する見通し。携帯電話・デジタ ル家電など、企業の新製品開発努力が消費意欲を喚起する効果も、当面は持続する見通 し。 |
世界的な素材価格の上昇は、最終財価格への転嫁が困難な状況下、企業収益の押し下げ要因として働く公算が大きいものの、売上増による増益効果が見込まれることから、交易条件悪化に伴うマイナス影響は吸収可能。 2004年度後半には、円高の影響と海外景気減速を受けた輸出の牽引力低下を背景に、やや回復ペースが鈍化する見通し。もっとも、[1]中国経済の成長持続により海外需要の回復は続くこと、[2]国内でも企業リストラの進展などを背景に景気回復の裾野が広がり始めていること、を勘案すれば、急激な景気後退に転じるリスクは小。 なお、前回(12月9日)公表の予測値と比べると、2003年度、2004年度の成長率は、それぞれ+0.6%、+0.5%の上方修正。 |
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