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リサーチ・フォーカス No.2025-025

中小企業財務の現状と求められる金融機関の役割

2025年07月11日 谷口栄治


2024年度の中小企業の経常利益は、粗利益が販管費を上回って拡大したことで、前年比+5%の増益。業種別では、コロナ影響の大きかった対面型サービス業で緩やかに業績が回復している一方、製造業では円安に伴うコスト増等によって、足元にかけて収益性が悪化。

中小企業向け貸出残高(24年度末)は、前年比+5%程度の伸びが持続。一方、中小企業全体で保有現預金も両建てで増えており、有利子負債から現預金を差し引いたネット有利子負債は減少。債務負担を測る指標である債務残高月商比や債務償還期間は、キャッシュフローの回復を主因に改善。また日本銀行の政策金利引き上げにより、中小企業の借入金利の水準は上昇。

企業倒産件数や代位弁済件数は、コロナ前の水準を上回って増加。もっとも、小規模・零細企業の増加が多く、金額ベースでみた地方銀行の与信関係費用や不良債権比率の増加は限定的。

今後の中小企業の経営課題として、①金利上昇や円安等の金融市場の変動、②トランプ関税をはじめとする海外情勢の不確実性増大、③人手不足や経営者の高齢化といった国内の構造問題、が存在。金融機関においては、以下の対応が必要に。

個別取引先毎の的確な実態把握ときめ細かい対応
経営環境の変化による業績や債務負担への影響は、業態や業種、ビジネスモデルによって区々。金融機関としては、的確な顧客の実態把握と、それを踏まえたきめ細かい対応が不可欠。

中小企業セクターの競争力強化・生産性向上のサポート
金融市場の変動に加え、トランプ関税や地政学リスクの高まりなど、海外発のリスクにも直面するなか、リスク対応力強化の観点からも、中小企業セクターの競争力強化・生産性向上が重要であり、金融機関としても、それに資するソリューションの提供が必要。具体的に、金融面では、設備投資関連の資金需要への対応、事業性融資の提供体制の整備、非金融面では、DX支援やM&A支援など、が求められる。


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