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リサーチ・アイ No.2024-126

EUの生産性向上に向けた金融面の課題 ― 資金調達手段の多様化がイノベーション促進の鍵に ―

2025年03月25日 朱雀愛海


近年、EUの国際競争力低下が問題視されており、その要因のひとつとして、生産性の低さが指摘可能。2023年の米国の全要素生産性(TFP)は2000年比+22%向上した一方、ユーロ圏では同+11%と約半分。業種別にみれば、情報通信(IT)産業において、欧米間の生産性格差が最大となるなど、同分野の優劣が生産性の伸びを大きく左右。

こうした生産性の低迷に関する金融面の課題として、2024年11月に公表されたECBの金融安定性レビュー等では、ユーロ圏は間接金融主体であり、イノベーションに資するリスクマネー供給が不足しているとの指摘あり。実際、ユーロ圏の銀行貸出は、産業別の粗付加価値(GVA)シェアに占める割合が低い不動産業や卸・小売業などに偏重。

さらに、EUのベンチャーキャピタル(VC)投資は、全体の投資規模、1件あたりの投資額のいずれも、米国対比大きく劣後。EUでは小規模なVCファンドが多く、より良い資金調達環境を求めて有望なスタートアップ企業が域外(米国)に流出している可能性も。

EUの競争力向上やイノベーション創出力強化に向けて、足元ではドイツをはじめとする域内各国で財政支出の必要性が指摘されているが、上記を踏まえれば、金融面からのサポートも不可欠。スタートアップに対する資金供給強化をはじめとしたEUの企業金融支援に係る施策や、欧州金融機関の成長産業育成に向けた取り組みが期待されるところ。


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