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リサーチ・アイ No.2024-116

ドイツの総選挙で極右が躍進― 高まる移民排斥の機運、懸念される成長力の低下 ―

2025年03月07日 朱雀愛海


2月に行われたドイツの総選挙で、極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党へ躍進。州別にみると、AfDの得票率は旧東ドイツで40%近くに達し、東部すべての州で第1位に。

極右躍進の背景は、景気低迷や移民増による現政権への不満の高まり。旧東ドイツでは、旧西ドイツに比べて一人あたりGDPが7割程度、雇用者報酬は8割程度に過ぎず。失業率も8%超と、旧西ドイツを2%ポイント近く上回る状況。高インフレの悪影響が長引くなか、旧西ドイツとの経済格差への反発が強まり。

さらに、2020年以降、旧東ドイツの外国人人口は、ウクライナからの難民増加などを受けて旧西ドイツと比べて急伸しており、2023年には2016年対比で約2倍に。インフレにより多数の国民が生活苦に直面しているにもかかわらず、移民への政府の支援が手厚いことなどから不満が高まり、移民排斥を掲げる極右へ支持が集まっている模様。

ドイツの右傾化は経済成長力を低下させる可能性あり。第1党となったキリスト教民主・社会同盟(CDU /CSU)のメルツ党首は、幅広い支持を得るために極右の主張を一部取り入れたより厳格な移民政策に転換する構え。ドイツは労働力を移民に依存する傾向が強く、移民排斥は労働供給の枯渇や潜在成長率の低下を引き起こす公算大。メルツ党首はインフラ投資など財政拡大方針を示しているものの、東西間の格差解消は一朝一夕には困難。そのため、AfDの勢力が一段と強まり、移民排斥の気運を助長する可能性も。


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