リサーチ・アイ No.2024-110 第7次エネルギー基本計画で消えた「電力コスト」の見通し ~求められる電力料金単価の予見性向上~ 2025年02月19日 新美陽大2月18日、第7次エネルギー基本計画(第7次エネ基)が決定(※)。わが国のエネルギー政策は、安全性Safetyを大前提に、安定供給EnergySecurity・経済効率性EconomicEfficiency・環境適合Environmentを図る「S+3E」を基本的視点とし、前回エネ基では3E関連指標の見通しが示されたが、今回は「経済効率性」の指標(前回:電力コスト)のみ見通しが示されず。近年、電力コストが国民生活や企業活動の重荷に。電力料金単価は、化石燃料輸入価格の高騰を背景に、政府の大規模な補助金にも関わらず、1985年来の高水準。加えて、単価の急変や先行きの不透明感も企業の経営判断を困難に。一方、エネルギー需要に占める電力の割合(電化率)は上昇しており、わが国経済における電力料金単価の重要度も上昇。第7次エネ基をみれば、あらゆる分野で電化を推進する方針で、電力料金単価は一段と重要に。また、再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化は、燃料費等の削減は期待できる一方、再エネ賦課金や託送料金がコストを押し上げる可能性があり、電力料金単価に影響大。さらに、AI・データセンター等における電力需要の増加も、電力コスト全体の増加要因に。したがって、わが国政府は、①「経済効率性」に関する電力料金単価等の見通しを示すとともに、②関連指標を定期的に点検し、③見通しから大きく乖離する兆しがあれば、フォワードルッキングに対策を検討する体制を構築して、計画の実現性を高めるべき。併せて、モニタリング結果等の情報発信を通じて、国民や企業における電力料金単価の予見性向上を図ることが肝要。(※)第7次エネ基については、日本総研ビューポイント No.2024-028(2024年12月9日)、リサーチ・アイ No.2024-082(2024年12月18日)・No.2024-095(2025年1月27日)も参照。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)