リサーチ・アイ No.2024-089
新NISA導入後の投資意欲、投資行動の変化 ―「貯蓄から投資」に向けた動きが加速、長期投資の定着が課題に―
2025年01月10日 内村 佳奈子
金融庁によると、2024年9月末時点のNISA口座数は、2023年12月末対比で+18%の2,508万口座に増加したほか、1~9月期の買付額も、2024年は13.8兆円と、前年同期比の3.4倍へ拡大。2024年初からスタートした新NISA制度が投資拡大を後押し。
年代別のNISA口座数をみると、40歳代、50歳代、30歳代の順で保有数は多くなっている一方、2023年12月末時点からの増加率では、10~20歳代の伸び幅が最大。新NISAの開始を機に資産形成に興味を持つようになったと回答した割合は若年層ほど高くなっており、投資意欲の押し上げに寄与。
また、新制度の開始以降、つみたて投資枠、成長投資枠の両枠を活用する動きが拡大。両枠の買付額を年代別にみると、若年層では成長投資枠での買付額が、高齢層ではつみたて投資枠での買付額が増加。新NISAでは、両枠の併用が可能となったほか、投資上限額が拡大したため、投資信託、個別株などの幅広い投資対象商品で資産形成を行う個人投資家が増加。
新NISA制度開始以降、口座数や買付額などは堅調に増加しており、初年度は好調な滑り出し。2年目となる2025年はこうした「貯蓄から投資」への流れが継続していくかが注目点。地政学リスクの高まりにより、金融資本市場のボラティリティ上昇が懸念されるなか、NISA利用者のさらなる裾野拡大や長期目線での資産形成の実現に向けて、金融リテラシーの向上が重要に。
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