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ビューポイント No.2024-028

わが国に求められるエネルギー基本計画の方向性~第6 次基本計画の検証と今後の課題~

2024年12月09日 新美陽大


エネルギー基本計画は、わが国の中長期的なエネルギー政策の指針であり、国内外の情勢変化を踏まえて3~4年ごとに改訂されるものである。現在、政府は第7次基本計画の策定に向けた議論を進めており、年内に素案が示される見通し。

21 年策定の第6次基本計画は、検討期間の終盤に政府が打ち出した“野心的な”脱炭素目標との整合性を重視した結果、“野心的な”再エネ・原子力活用や省エネを盛り込む。省エネは進んでいるものの、供給面のエネルギーミックス転換には遅れ。

第6次基本計画の問題点として、①終盤の軌道修正の影響による予見可能性の低さ、②環境優先および進捗の検証不足による「S+3E(安全性+安定供給・経済効率性・環境適合)」のバランス欠如、③供給面重視による需要家置き去りの議論。

加えて、第6次基本計画策定後、①火力発電コストの高止まりによる「経済効率性」の著しい悪化、②調整力不足に伴う出力制御の増加による再エネ導入の制約、③将来的なエネルギー需要や国際的な脱炭素推進等における不確実性の高まり、といった新たな問題も顕在化。

これらの問題点を踏まえ、今後わが国に求められる基本計画の方向性は以下。
① 「S+3E」のバランスが取れた計画策定・推進:「S+3E」のバランスを重視した検討・推進体制の構築。インパクトファイナンスで用いられる管理手法を導入。各項目の評価に適した KPI を設定、年 1 回以上進捗を検証し、結果を公開。
② 実現性の高いシナリオ策定:実現可能性が高い「積み上げ型シナリオ」と野心的な「脱炭素シナリオ」の2つのシナリオを策定するとともに、「積み上げ型シナリオ」の計画値を段階的に引き上げる「ラチェット・メカニズム」を導入。
③ 予見可能性を高める政策パッケージ:エネルギー政策だけでなく、GX 戦略等の産業政策などと連関させた政策パッケージとして提示。シナリオの予見可能性を高め、需要サイドの企業等にも活用しやすい基本計画に。

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