リサーチ・アイ No.2024-073
中古住宅へのシフトが住宅投資を下押し ー住宅取得の3割が中古、10年で倍増―
2024年11月22日 中野萌希
わが国では中古住宅取得が増加傾向。住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」を用いた試算によると、住宅取得に占める中古住宅の割合は足元で3割超に。とりわけ近年は、地方部で顕著に増加。
中古住宅の取得増加は、不動産価格の上昇が一因。資材価格や人件費の上昇などにより、足元の不動産価格は過去10年間で1.4倍に上昇。住宅取得費用を抑制するため、新築住宅よりも安い中古住宅へ需要がシフト。国土交通省のアンケート調査によると、住宅所有希望者のうち、新築住宅を希望する層が減少する一方、新築・中古どちらでもよい、あるいは中古住宅を希望する層が増加。
中古住宅の増加は、新築住宅の需要減少を通じて、わが国の住宅投資の下押しに作用。試算によると、中古住宅取得割合が1%ポイント上昇すると、住宅投資は1%弱減少。中古住宅需要の拡大により、この10年間で住宅投資は1割減少した計算に。中古住宅の普及でリフォーム関連の投資が誘発されるものの、住宅投資全体への影響は限定的。
わが国の住宅投資はかねてより減少傾向で推移。先行きも、住宅取得能力の低迷や世帯数の減少という逆風に加えて、中古住宅の普及が住宅投資を下押しする見通し。
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