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リサーチ・アイ No.2024-049

対中関税発効でも苦境が続く欧州自動車メーカー ― 東欧での中国製EV生産拡大や、消費者の低価格志向が引き続き逆風 ―

2024年09月05日 朱雀愛海


欧州委員会は7月5日、中国製バッテリー式電気自動車(BEV)に対する17.4%~37.6%の暫定的な相殺関税を発動。7月に行われた加盟国への意見調査では、反対は4ヵ国にとどまり、最終投票でも否決基準を満たす可能性は小さく、関税措置は発効となる公算大。

それに伴い、欧州では中国からのEV輸入が急減する見込み。独キール世界経済研究所は、中国からのEV輸入台数が約4割減少すると予測。減少分は、欧州域内の生産者や第三国からの輸入で充当される見込みであり、短期的には、ベルギーやスペインなど中国産EVへの依存度が高い国でEV価格が上昇する可能性大。

もっとも、関税措置の発効後もドイツなど欧州EVメーカーの劣勢は変わらない見込み。中国のEVメーカーは、進出を歓迎している東欧諸国でEV生産を拡大させる計画。ハンガリーでは長城汽車の工場を誘致する交渉が進められているほか、欧州ステランティスが中国新興EVリープモーターと提携し、ポーランドで生産を計画。外資導入を進めてきた東欧諸国ではEV関連産業が集積しており、EUでは東欧諸国からの輸入が急増。今後は中国メーカーの東欧製EVの輸入が一段と増加する公算大。

消費者の低価格志向も、高価格帯製品の多い欧州メーカーにとっては逆風に。2024年に実施された調査では、日本以外の消費者は、総じて同様の機能を備えていれば中国製でも安価なEVを選好。相殺関税は短期的に欧州内の中国製EVの勢力を弱めるものの、中長期的には中国産EVが普及する流れは変わらない見通し。


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