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リサーチ・フォーカス No.2024-027

増加する空き家と求められる対応 ― 当事者の不安・負担の軽減と新たな利活用の促進を ―

2024年08月21日 下田裕介


わが国では、高齢化が進展するなか、金銭・手続き上の負担などもあり、空き家数が増加。空き家の増加が続けば、治安や景観の悪化といった周辺住民の生活面への悪影響に加え、資産価値の低下、住民流出などを通じた経済面の損失がより深刻に。

空き家の状況を地域別にみると、地方では空き家比率が高い一方、都市部では同比率は低くとも空き家戸数が多い、という特徴あり。わが国の空き家問題は、現在、地方を中心に注目されるが、今後は、地方に限らず大都市圏にも拡大していくことが見込まれ、日本全体が抱える課題として、その解決に向けた政策対応が必要に。

今後、空き家増加による弊害を深刻化させないために、以下の対応が必要。
① 空き家管理の徹底を促す法改正の周知
昨年12 月の法改正により、管理不全の空き家所有者に対して指導や勧告、強制的な解体執行が可能に。同法の周知や空き家所有者からの相談への対応などを通じて、空き家の適切な管理を促していくことが重要。

② 相続登記義務化の実効性確保
空き家が相続登記されずに放置されるケースを防ぐため、本年4月より相続登記を義務化。もっとも、同制度の認知度や実効性を懸念する見方もあり、運用状況を確認しつつ、必要に応じて修正を検討すべき。

③ 解体費用負担等の試算を通じた不安の払しょく
空き家の解体が進まない理由の一つに、解体サービスや費用に関する情報不足が存在。デジタルツールを用いた簡素で分かりやすい情報提供を通じて、空き家所有者の不安を払しょくしていく必要あり。

④ 賃貸・売却向けの空き家マッチングサービスの多様化
空き家バンクの整備が進む一方、登録・活用が進んでいない点は課題。自治体、金融機関、不動産業者が連携して活用を後押しする必要。

⑤ 福祉施設や商業店舗などへの転用、外国人を対象とした活用の模索
空き家の福祉施設や商業施設などへの転用、外国人を対象とした民泊施設への改築、賃貸・販売など活用の選択肢を広げていくのも一案。


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