リサーチ・アイ No.2024-035
マイナス金利解除後の定期預金の動向 ~ 法人預金が増加する一方、個人預金に大きな変動は見られず ~
2024年07月22日 内村佳奈子
2024年3月の日銀のマイナス金利解除を受けて、金融機関は預金金利を引き上げ。普通預金の平均金利が0.001%から0.02%へ上昇したほか、定期預金金利は1年物が0.027%へ、10年物で0.285%に上昇と、2010年代前半以来の水準に。
国内銀行の定期預金残高をみると、2016年以降、前年比減少が続いていたものの、直近(24年5月)では、同+3.7%となるなど、動きに変化あり。内訳を個人・法人別にみれば、個人では減少が持続する一方、法人では2022年末以降、前年比プラスに。マイナス金利解除後は伸び率が急加速。
期間別にみれば、預入期間が1年以上の残高の減少が続いている一方、1年未満の残高は急増。日銀による金融政策の正常化観測が高まるなか、普通預金対比高金利を享受しつつ、金利上昇にも備え、資金移動が行いやすい短期預金への預入が増加している状況。
今後の注目点の一つが、個人の定期預金の動向。1世帯あたり定期預金残高保有額を年代別にみると、高齢層が多額の定期預金を保有。日銀の追加利上げが進み、定期預金金利がさらに上昇すれば、低リスクな投資先として、定期預金への資金シフトが進む可能性。今後、「金利ある世界」の到来が有力視されるなか、わが国銀行の競争力や預貸業務の収益性を展望するうえでも、預金金利や預金残高の変動に注視していく必要あり。
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