リサーチ・アイ No.2024-034
極右政権発足を回避も、財政悪化が懸念されるフランス ― 左派政権とEUの対立が金利急騰を招来 ―
2024年07月18日 朱雀愛海
今月7日に行われたフランス国民議会選挙の決選投票では、6月末の第1回投票で躍進した極右の国民連合(RN)は失速し、左派連合(NFP)が第一党に。RNが失速した背景には、与党連合とNFPによる極右政権の誕生を阻止する動き。今回の第1回投票の投票率は67%と前回選挙から約20%上昇し、決戦投票に進む候補者が増加(規定では有権者数の12.5%以上の票を獲得した候補者は決選投票に進むことが可能)。与党連合とNFPは、重複立候補による反極右票の分断を避けるため、決選投票へ出馬する候補を一本化。
極右政権の誕生は阻止されたものの、政局の先行きは不透明。第1党のNFPは過半数に満たず、連立協議も難航。マクロン大統領は、連立政権樹立に向けて各政党に妥協点を見出すことを求めているものの、NFPは、反極右・反マクロンであり、NFPのメランション党首は与党連合との連立を拒否している状況。仮に、少数与党となる場合でも、NFPは主張が異なる複数の政党から構成されているため、各党間の調整は難題。NFP内部の対立で首相候補者の選定がすでに混迷。
NFPは選挙戦でバラマキ政策を公約として提示。主要政策は、年金支給開始年齢の引き下げや失業保険の拡充など。さらに、EUには財政ルールの適用除外を求めるとしており、予算編成を巡るEUとの対立が懸念。フランスでは財政赤字が膨らんでいるだけに、財政悪化懸念による金利急騰のリスクに要注意。
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