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リサーチ・アイ No.2024-029

フランス議会選を前に右派躍進で金利急騰、景気に暗雲 ― 右派勢力の穏健化で国民の意識に変化 ―

2024年06月27日 朱雀 愛海


フランスでは、6月末から始まる国政選挙で右派が躍進する公算大。先の欧州議会選挙で、極右の国民連合(RN)が第1党に。右派勢力の台頭を早期に抑えるため、マクロン大統領は国民議会を解散。もっとも、世論調査によると、国政選挙では国民連合が1位、選挙協力を行った左派連合も2位につけるなど、与党連合は後塵を拝する状況。国政選挙は2回投票の小選挙区制であり、右派と左派で決選投票が行われる可能性も。

フランスで右派勢力が拡大した背景は、次の2点。第1に、長引く高インフレ、移民問題、環境政策によるコスト負担増大など国民の不満が高まっていること。第2に、国民のRNへの抵抗感が後退していること。RNは前身政党である国民戦線(FN)時の過激な主張を修正し、穏健化を図ることで有権者の支持を獲得。昨年末に実施されたアンケートでは、1984年以来初めてRNを危険視しない見方が優勢に。

右派勢力の伸長を受けてフランスの長期金利が急騰。フランス国債の対ドイツ利回り格差は、2017年以来の水準まで拡大。RNは年金改革の廃止やエネルギー付加価値税の引き下げなどを公約に掲げており、財政悪化への懸念が金利を押し上げ。フランスでは財政赤字が膨らんでおり、今後の収支もドイツやイタリアに比べて改善が停滞する見通し。5月にはフランス国債の格付けが引き下げられるなど、財政悪化が懸念されやすい状況。金利急騰の悪影響がユーロ圏の景気や金融市場に波及しかねないだけに、フランスの選挙結果と議会運営には要注目。


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