リサーチ・アイ No.2024-027
日銀短観(6月調査)予測 ― 非製造業の景況感は好調も、製造業は足踏み ―
2024年06月20日 内村 佳奈子
7月1日公表予定の日銀短観(6月調査)では、景況感は小幅に悪化する見込み。全規模・全産業の業況判断DIは3月調査対比▲1%ポイント低下すると予想。業種別に見ると、大企業・製造業の業況判断DIは前期から横ばいとなると予想。世界的にデジタル関連の需要が回復しているものの、自動車メーカーの認証不正問題が新たに発覚したことが景況感改善の重石となる見込み。
大企業・非製造業の業況判断DIは、同▲2%ポイントの低下を予想。ただし、DIの水準は過去最高水準に達しており、良好な景況感は維持される見通し。円安などを背景にインバウンド需要が拡大しており、宿泊・飲食業の景況感を押し上げ。デジタル化や省力化を背景にソフトウェアの受注が増加するなど、情報通信業の業況も改善。
先行き(2024年9月調査)は、全規模・全産業で6月調査から横這いを予想。製造業では、自動車の生産回復や電子部品など財需要の循環的な回復が見込まれることから、関連業種を中心に小幅改善する見通し。非製造業は小幅な低下が見込まれるものの、高水準で推移する見通し。ただし、製造業、非製造業ともに人件費の増加や、物価上昇による消費低迷などへの懸念が企業マインドの重石となる可能性。
2023年度の設備投資額(土地投資を含み、ソフトウェア投資を除く)は、全規模・全産業ベースで前年度比+5.2%での着地を予想。2024年度の設備投資計画は、全規模・全産業ベースで前年度比+9.5%と、前回調査対比+0.8%の上方修正を予想。人手不足対応などに向けた省人化投資や脱炭素、DX関連の投資ニーズが旺盛であり、企業の設備投資は引き続き堅調に推移する見通し。
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