リサーチ・フォーカス No.2024-015
若年層における投資拡大の背景と今後の課題~中長期的な資産形成に向けて金融経済教育の拡充を~
2024年06月19日 内村佳奈子
若年層において、株式や投信といったリスク性資産の保有経験者が着実に増加。こうした若年層における投資拡大の背景として以下の4点を指摘可能。
① 制度整備に伴うインセンティブの拡大
つみたてNISAの普及が、若年層が投資に興味を持ったり、投資を始めたりするきっかけに。
② 将来不安を受けた資産形成ニーズの高まり
老後資金などに対する将来不安などから、資産形成(貯蓄)を増やす傾向。
③ 株価上昇に伴う投資に対する抵抗感の低下
アベノミクス以降の持続的な株価上昇を背景に、投資に対する抵抗感が低下。
④ デジタル化の進展による投資の容易化
証券取引(口座開設、売買等)や投資関連の情報収集等をデジタルベースで完結できる環境が整備されたことで、若年層にとって投資を始めやすい状況に。
このように若年層における投資が着実に拡大している一方、①投資に無関心な層が依然として残っているほか、資産形成に必要となる金融経済教育を十分に受けていない層も多い、②ネット上、SNS上で投資に関する虚偽情報や投資詐欺が拡大している、といった課題が存在。
若年層における中長期的な資産形成を促進するためには、以下の取り組みを進めていく必要あり。
・金融経済教育の充実:金融経済教育推進機構(J-FLEC)を中心に、若年層に対する金融経済教育の提供機会を拡充する必要あり。リスク・リターンの見極めやライフスタイルに合わせた資産形成など、金融リテラシーの向上を促進し、ファイナンシャル・ウェルビーイングの実現を企図。
・安心して投資ができる環境の整備:海外での対策なども参考に、わが国においても、SNS上での投資詐欺や虚偽情報の流布等への対応を検討。
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