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JRIレビュー Vol.5,No.116

日本の海洋ビジネス振興に向けた官民協働のプロセスに関する提言 ―アメリカの宇宙政策をベンチマークにエコシステム形成へ―

2024年05月16日 岩崎海


日本は海洋ビジネスに大きな可能性を有する国である。活用することができる海洋のリソースは沿岸部にとどまらず広大なEEZ(Exclusive Economic Zone:排他的経済水域)にも存在する。このようなフィールドにおいてビジネスを進めることは日本の産業振興に重要であると考えられ、本稿では沿岸ではなく外洋での活動に主眼を置き、そこでのビジネス育成の可能性を分析する。

日本の海洋政策を規定した第4期海洋基本計画のなかで、「海洋の産業利用の促進」として新たな産業の育成や既存産業の更なる発展等に向けた開発への期待について述べられている。また、戦略的イノベーション創造プログラムの一つとして内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) 海洋安全保障プラットフォームの構築 社会実装に向けた戦略及び研究開発計画」が存在する。
両者に共通しているのは、民間企業が自律的にビジネスを行うことができるかといった事業性の検討が具体的な視野に入っていないことである。研究開発と同時並行して事業性の検討が進捗しなければ、民間企業の事業に繋がらず産業振興にならない。

そこで海洋ビジネスとりわけ、外洋でビジネスを育んでいくための政策の方向性を検討する。外洋におけるビジネスの特徴である、馴染みが薄い、比較的多額の投資が必要という点を踏まえ、事業性への着意が薄いという課題に対応した取り組みを先例として学び、日本の政策に取り入れるべきである。

宇宙は外洋に類似した特徴を有していることから、海洋ビジネスに影響を与える政策のベンチマークとして、先進的な取り組みが多いアメリカの宇宙政策を参照する。
アメリカの宇宙政策の特徴の一つが、官民の対話から始まり、マイルストン達成毎による支払いや技術面以外の重視といった既存の事業者以外の事業者が参入しやすい設計が随所になされていることに加えて、柔軟に事業計画を変更することができ、専門的なサポートまで受けられるという要素をもつ点である。

AUV(Autonomous Underwater Vehicle:自律型無人潜水機)を事例としてベンチマークから抽出した要素をプロセスとして提示する。この「日本の海洋ビジネス振興に向けた官民協働のプロセス」は、フロンティアである外洋が有する可能性を発揮させることに繋がり、AUVに限らず開発などの進捗が停滞している領域、例えば海洋資源開発にも利用できる可能性がある。このプロセスは、モデルケースとなるべき重要な枠組みであり、イノベーションの創出、産業振興に向けて重点的に推進すべき政策と考える。

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