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リサーチ・アイ No.2024-002

近畿短観(2024年3月調査)でみる関西経済―景況感は総じて良好、価格転嫁の動きは徐々に進展―

2024年04月04日 西浦瑞穂


日銀大阪支店「短観」(近畿地区)3月調査は、全産業の業況判断DIが+9と、前回調査から2ポイント低下。業種別にみると、前回調査からの変化幅は、製造業が▲3ポイント、非製造業は▲1ポイント。業況判断DIの動きは一進一退ながら、DIの水準は2020年からの景気回復局面のなかで高水準にあり、企業の景況感は総じて良好と判断。

製造業の押し下げ要因の一つは、輸送用機械が前回調査から▲11ポイントの大幅悪化となったこと。関西に主要な生産拠点がある一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響とみられるものの、生産は順次再開されており一時的な影響にとどまる見込み。他方、化学や電気機械の業況も低下しており、海外経済の減速を受けた輸出の低迷が依然として製造業の景況感の押し下げに作用していることを示唆。

全産業ベースの2024年度の売上・収益は、それぞれ前年度比+1.0%、▲4.4%の増収減益計画ながら、企業収益の水準でみれば製造業、非製造業ともに高めを維持。事業計画の前提となる想定為替レート(全規模・全産業、2024年度は141.58円/米ドル)は実勢より円高に置かれており、輸出企業には収益上振れの余地大。2024年度設備投資計画(全産業・全規模)は前年度比+4.6%と、期初計画値としては例年対比高めの水準。良好な収益環境を背景に、企業は積極的な投資姿勢を維持。

先行きについては、海外経済の減速が景気の押し下げ圧力となる一方、所得環境の改善などを背景とした個人消費の回復が景気の押し上げ要因となる見込み。コスト上昇分を価格転嫁する動きは、一般的に価格交渉力の弱い中小企業でも徐々に進展。適正な価格転嫁による利益確保と、それに支えられた賃上げという好循環が、企業規模に関わらず定着するかが重要に。

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