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ビューポイント No.2023-023

生成AI の台頭がもたらす金融リスクと 今後の対応の方向性 ~ AI リスクは2024 年の国際金融当局のトピックに~

2024年02月15日 谷口栄治


生成AI(Generative AI)が急速に浸透・普及するなか、金融領域においても、業務効率化や顧客インターフェースの改善、内部管理の高度化等への活用を検討する動きが進展。

一方、AI 活用による金融関連のリスクとして、①金融機関が有する機微なデータや情報の流出・漏えい、②AI に内在する偏見・バイアスの存在(金融排除等につながるリスク)、③誤情報の生成(幻覚・ハルシネーション)、④AI 利用時の意思決定のブラックボックス化(説明責任能力低下)、⑤ディープフェイク(フェイク画像、フェイク動画)の拡散による金融市場の混乱、⑥AI 利用者の投資判断やリスク認識の画一化に伴う金融システム不安(プロシクリカリティ・リスク)、等を指摘する声あり。

こうしたなか、欧米の金融当局や金融安定理事会(FSB)は、各々の報告書等のなかで、金融サービスにおけるAI の台頭が金融システム上のリスクになると指摘したうえで、2024 年中にリスクの特定や当局としての対応方針を検討する方針を明示。

このようにAI リスクへの対応が金融当局にとって重要な政策課題となるなか、今後の対応の方向性として3点が重要に。
① AI 関連の金融リスクの検証 ~ 国際連携、情報発信
国内金融機関のAI の利用状況や管理態勢等の実態把握、海外当局等との情報共有や意見交換を通じて、AI 関連の金融リスクを検証するとともに、規制・監督強化の具体策を検討する必要あり。同時に、当局の取り組みやリスク認識等に関する情報を、適時適切に発信し、金融機関や市場参加者等の意識を高めていくことが重要。

② 業種横断的なAI リスクへの対応 ~ 包括的な対応策定への関与
データセキュリティやディープフェイク、ハルシネーション等のリスクは、業種横断的に対応方針を検討することが肝要。米国やEU 等の動きを受けて、AI に関する包括的な対応方針の策定が急がれるなか、金融当局として積極的に関与していく必要。

③ 金融機関におけるAI 活用の促進 ~ イノベーションの創出・業務高度化の後押し
わが国金融機関が安心してAI を利活用できるよう、内外金融機関等の有効な活用事例や人材採用や研修体制、組織対応といったサポート態勢に関する情報等を適宜共有し、わが国金融システム全体の効率化や高度化を進めることが肝要。


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