リサーチ・アイ No.2023-082
地方のインバウンド需要回復に遅れ ―欧米等からの訪日客の取り込みと受け入れ態勢の整備が課題―
2024年02月01日 武田昂遥
わが国では、地方のインバウンド需要の回復に遅れ。外国人延べ宿泊者数は、東京や栃木といった関東圏でコロナ前対比+46.9%と大きく増加しているのに対し、それ以外の地域では同+2.8%に過ぎず。地方のインバウンド需要が低調な背景は以下の3点。
第1に、欧米等からの訪日客の増加を取り込めていない点。今次局面では、中国からの訪日客が少ない一方、欧米や豪州、東南アジア諸国からの訪日客が増加。もっとも、地方の訪日客は、コロナ前から中国や韓国・台湾が中心で、それ以外の地域からの訪日客が関東圏に比べて少。今次局面でもそうした構図に変化は見られず。
第2に、航空便数が回復していない点。2023年冬の国際定期便の直行便数をみると、関東圏は2018年冬対比▲6.5%まで回復している一方、地方は同▲28.5%と回復に大幅な遅れ。
第3に、人手不足が深刻化している点。宿泊業、飲食サービス業の就業者数をみると、地方では関東圏に比べ回復ペースが緩やか。地方における人手不足の深刻化が宿泊施設の稼働率低下などにつながっている可能性。
今後、地方のインバウンド需要が本格的に回復するためには、需要面と供給面の双方に課題。需要面では、欧米等からの訪日客を地方に呼び込む取り組みが必要。供給面では、地方への直行便の復便や関連サービスにおける省人化投資などを進めることで、訪日客の受け入れ態勢を整備することが不可欠。
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