リサーチ・アイ No.2023-076
能登半島地震が被災地域経済に打撃 ― GDP損失は1,000億円弱と試算、求められる政府支援 ―
2024年01月23日 北辻宗幹
2024年1月1日に発生した能登半島地震による深刻な被害が、被災地域の経済活動を下押し。熊本地震などを参考にした試算によると、GDPの損失額は▲974億円(GDP比▲0.02%)にのぼる規模。経済損失が生じる主な経路は以下の2つ。
第1に、生産・事業活動の停滞。被災地域での工場や道路などの資本ストックの毀損や被災者の労働復帰の遅れなどにより、企業の生産・事業活動が停滞。過去に震度7の地震が発生したケースでは、製造業の生産活動は一時的に落ち込んだ後、概ね数ヵ月程度で震災前の水準を回復する傾向。今回は、すでに一部の企業が生産活動を再開するなど、復旧に向けた動きもみられており、県単位でみれば生産落ち込みの長期化は避けられる可能性。
第2に、観光需要の減少。足元では石川県や富山県を中心に宿泊のキャンセルが増加。過去の例をみると、日本人の旅行需要の落ち込みは早期に解消したものの、外国人の落ち込みは長期化する傾向。
政府は復旧・復興に向けた対策を実施。同地震を激甚災害に指定することで、財政面からインフラ復旧の支援を強化したほか、復旧・復興関連の機動的な財政支出に備え、2024年度予算案における一般予備費を1兆円に倍増。今後は、風評被害への対策などで訪日外国人の減少を抑える取り組みなども強化する必要。
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