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リサーチ・フォーカス No.2022-066

金利上昇と人口減を踏まえた住宅支援策とは ― 住宅取得希望者へ資産形成とストック活用を促す金融サポートを ―

2023年03月17日 下田裕介


わが国では、住宅ローン減税をはじめとする住宅取得支援策が講じられており、比較的年齢の若い中・低所得者層を中心にサポート。もっとも、①歴史的な低金利が続くなか家計の負債依存度が上昇、②支援策における新築優遇面が大きいことから住宅ストック数はすでに世帯数を超過、といった課題が存在。

一方、足元では、金融・経済や社会構造に以下のような変化が起こりつつあり、住宅市場や家計の住宅取得環境は曲がり角に。
―日本銀行による大規模金融緩和の修正が視野に入り、金利上昇により住宅ローンの返済負担が増大する可能性。小幅な金利上昇であれば家計への影響は限定的ながら、住宅取得層の中心である中・低所得者層ほど、返済の増額をカバーする可処分所得が少ないため、負担の度合いが大きくなる懸念。
―人口減少が進むなか、2023 年をピークに世帯数が減少に転じる見込み。住宅ストック数と世帯数のかい離は一段と拡大する公算大。空き家の増加などが深刻な社会問題となるおそれも。

上記を勘案すれば、今後、政府は、家計に対する金融面からの住宅取得支援策について、以下の方向性に改めていくことが必要。
① 「負債の返済負担軽減」から「資産形成」へ
今後到来するであろう「金利がある世界」を見据えれば、住宅取得支援策は、家計に対して取得時の頭金などの資産形成を促し、負債依存度を引き下げる仕組みとすべき。
② 「新築の優遇」から「中古の活用」へ
住宅取引において圧倒的に少ない中古住宅を、居住する価値がある良質な物件として活用促進策を講じるとともに、家計の住宅取得支援策についても、新築住宅と中古住宅が同等の支援を受けられる仕組みとすべき。

海外に目を向けると、英国のライフタイムISAは、家計の資産形成と中古住宅の活用を促す住宅支援策を検討するうえで参考となる面が多い。

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