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リサーチ・フォーカス No.2022-063

後発医薬品の薬価制度改善に向けて ― 競争状態の薬価への反映を ―

2023年03月15日 成瀬道紀


医薬品の供給不足や足元のインフレなどを受けて、薬価制度の在り方が注目されている。本稿は、とりわけ供給不足やメーカーにとっての不採算品目の存在が顕著な後発医薬品の薬価(医療機関・薬局への償還価格)について考察する。

わが国の後発医薬品の薬価の決定方法は、上市時、上市後の双方に課題がある。まず、上市時の薬価は、原則先発医薬品の一律50%である。これは、大部分の成分でメーカーの採算ラインを大きく上回っているものの、一部の成分では採算ラインを下回っている。次に、上市後は、毎年の薬価改定で市場実勢価格(医療機関・薬局が卸等から仕入れる価格)に基づき薬価が引き下げられていく。総価取引(全品目まとめて薬価の一定割合を値引き)の慣行などもあり、市場実勢価格には、個々の品目の状況が適切に反映されていない。このため、薬価はメーカーの採算ラインを下回ってもなお下がり続ける傾向がある。このような薬価の決定方法の結果として、安定供給の確保も薬剤費の効率化も十分に達成されていない。とくに先発医薬品の特許切れ直後の採算が良い時に多数のメーカーが後発医薬品を上市し、累次の薬価改定を経て不採算になると次々と撤退してしまう事態が目立つ。

こうした状況を是正するには、薬価決定における競争状態(メーカーの参入数やシェアの状況)の反映が有効である。具体的には、第1に、上市時の薬価決定におけるtiered-pricingの導入である。上市時の品目数(メーカー数)に応じて、後発医薬品の薬価の先発医薬品に対する割合を変更する。品目数が多い場合は薬価を低く設定し、少ない場合は高くする。第2に、上市後の販売数量の公表と競争状態のモニタリングである。政府は、レセプトデータから各品目の販売数量を把握できるはずであるが、現状十分に公表されていない。これを公表したうえで、そのデータから競争状態を示す指標を算出し、モニタリングする。第3に、上市後の薬価改定における競争状態の反映である。寡占化が進んでいる成分の品目を薬価引き上げの検討対象とすることなどで、安定供給を確保するうえで重要な要素である健全な競争が行われる市場環境の実現が期待できる。

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