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リサーチ・アイ No.2022-085

企業・家計のマインド変化で値上げ品目に広がり ― 政府の施策も価格転嫁の後押しに ―

2023年03月08日 白石尚之


わが国では、値上げの動きが拡大。価格上昇率の品目別分布をみると、財では上昇率が2桁の品目の構成比が2割程度まで増加。サービスでも上昇率がゼロ%台の品目が大きく減少し、上昇品目が増加。値上げ品目が広がっている背景として、以下の2点を指摘可能。

第1に、企業の価格転嫁姿勢が強まったこと。企業は現在のコスト高が今後も続くとの見方を強めていると考えられ、販売価格を中長期的に引き上げる意向。日銀短観によれば、企業による5年後の販売価格見通しは、全産業で+4.3%とコロナ前から大きく上昇。製造業だけでなく、小売業や対面型サービス業といった川下の産業でも価格引き上げ姿勢が顕著。

第2に、家計の値上げ容認姿勢が強まったこと。今次局面のインフレはウクライナ侵攻という有事が一因であり、値上げ致し方なしとの捉え方が多かったことが、企業の価格転嫁を後押しした可能性。日銀のアンケート調査によれば、値上げを困ったことと回答する割合が、2000年代後半の価格高騰期に比べて抑制。家計の中長期的な予想インフレ率も高まっており、値上げを受容せざるを得ないとの認識の強まりを示唆。

今後は、政府の施策も企業の価格転嫁を後押しする可能性。政府は、毎年9月と3月を価格交渉促進月間に指定し、企業間で適切に価格交渉を実施するよう要請。また、下請企業への調査を基に、価格交渉や価格転嫁に後ろ向きな親企業の実名公表・指導にも着手。実効性を伴う取り組みを通じて、価格交渉と価格転嫁のサイクルを醸成することが狙い。


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