リサーチ・アイ No.2022-077
電気・都市ガス代は年央以降に上昇 ― 規制部門値上げと激変緩和措置の終了が上昇圧力に ―
2023年02月09日 白石尚之
資源高と円安を受けて、わが国の電気・都市ガス代が高騰。今後の電気・都市ガス代は、2月以降にいったん下落した後、年央から年後半にかけて再び上昇する見通し。この結果、電気・都市ガス代は消費者物価(生鮮食品を除く総合)の前年比を年央にかけて押し下げた後、年末以降に再び押し上げ。こうした動きには、以下の通り、政府による価格抑制策と電力会社による値上げが影響。
政府による電気・都市ガス価格激変緩和措置が2月以降の電気・都市ガス代を抑制。政府は電気・都市ガスの小売事業者に値引き原資を支給。これを元手に各社は料金値引きを実施。この措置は、家計負担を電気代で2割、都市ガス代で1割強軽減。
もっとも、電気・都市ガス価格激変緩和措置は時限措置で、9月に半減する予定。予定通り同措置が10月に終了すれば、コアCPIに対する押し下げ効果がはく落。
さらに、電力会社による値上げも電気代を押し上げる見込み。電気代のうち規制料金は、3~5ヵ月前の資源価格の平均値に基づいて燃料費が算出され、これをもとに毎月の料金が決定される仕組み(燃料費調整制度)。燃料費調整額には上限が設定されており、最近の資源高で調整額が上限に抵触していることから、電力各社は転嫁未済分を勘案した春以降の値上げを申請。国の審査を経て値上げ幅は圧縮される可能性があるが、こうした値上げが、4月以降、激変緩和措置の効果を一部相殺する見込み。
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