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国際戦略研究所 研究員レポート

【中国情勢月報】
総統選挙から見る今年の台湾を巡る動き

2023年01月31日 副理事長 高橋邦夫


 台湾では1月18日、昨年11月の統一地方選挙での惨敗を受けて与党・民進党主席(党首)を辞任した蔡英文・総統の後任として、現在副総統を務める頼清徳氏が、新たな民進党主席に就任した。また、翌1月19日には、同じく統一地方選挙敗北を受けて辞任の意向を示しながら、蔡英文総統に慰留されてきた蘇貞昌・行政院長(首相)が内閣総辞職の意向を明らかにした(なお、後任には、陳建仁・前副総統が就任することを1月25日に総統府報道官が明らかにした)。
 このように、1年後の2024年1月に行われる総統選挙及び立法院(国会)選挙に向けて、台湾ではいよいよ「政治の1年」が始まろうとしている。
 本稿では、総統選挙に向けて、今年の台湾情勢がどう動くか、また中国、そして国際社会はどのような動きを見せるか、私見を交えつつ考えてみたい。

統一地方選挙の結果

(1)今年の台湾を巡る動きを考えるに先立って、昨年11月26日に行われた台湾の統一地方選挙を振り返ってみたい。当初、22の自治体で首長や地方議員を選出されるために行われることになっていた「統一地方選挙」であるが、その1つの嘉義市で候補者が死亡したため、最終的には21の自治体で選挙が行われた(嘉義市については、12月18日に実施)。
 結果を見ると、21の首長選挙では、与党・民進党が勝利したのは5つ、最大野党・国民党が13、野党・台湾民衆党が1つ、残り2つは無所属と、民進党の惨敗であった。

(2)この結果を受けて、上記の通り、民進党の党首でもある蔡英文総統が党主席を辞任した訳であるが、本邦紙の中には、今回の地方選挙の結果をもって、来年1月に行われる総統選挙、立法院選挙で与党・民進党が劣勢に置かれたという論調の記事も見られた。しかし、中国情勢とともに台湾についても長年状況を見て来た筆者は、それほど物事は簡単ではないというのが実感である。それについて、以下説き起こしていきたい。

2.地方選挙と「国政」レベルの選挙は別物

(1)昨年の統一地方選挙と来年の総統選挙・立法院選挙が全く無関係ということはないにしろ、結論を先取りすれば、地方レベルの選挙と「国政」レベルの選挙は分けて考えるべきであるというのが、筆者の見方である。

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