リサーチ・アイ No.2022-072
わが国のインバウンド需要に本格回復の兆し ― 2023年のGDPを0.4%押し上げ ―
2023年01月10日 内村佳奈子
新型コロナの水際対策が昨秋大きく緩和されたことを受けて、インバウンド需要に本格回復の兆し。長らくゼロ近傍が続いた訪日外客数は、2022年11月に93万人とコロナ前の4割程度の水準まで増加。世界の航空需要予測などを参考にすると、訪日外客数は2023年末には年率換算で2,000万人を超える水準まで回復する見通し。
地域別でみると、中国を除く東アジアからの訪日客の回復が顕著。とりわけ韓国、台湾、香港などからの訪日客が大きく増加しており、韓国はコロナ前の6割弱の水準まで増加。東アジア以外では、米国やシンガポールなども回復が先行。
円安の影響で一人当たりの旅行消費単価も増加。訪日外国人一人当たり消費額と為替レートの関係をみると、円安が進行するほど消費額が増加する傾向。新型コロナ流行前と比べて円安が進行しているため、多くの外国人にとって日本の物価は割安に。
2023年はインバウンド消費の復調がわが国景気の回復を後押しする見通し。訪日外客数の増加と旅行単価の上昇を勘案すると、2023年のインバウンド消費額は3.1兆円となり、名目GDPを0.4%程度押し上げると試算。なお、この試算では、中国人観光客が夏場以降に回復すると想定しているものの、中国人訪日客に対する水際対策が長引く場合、インバウンド消費額が下振れる可能性がある点に要注意。
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