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リサーチ・アイ No.2022-069

為替レートの不確実性の高まりが輸出や設備投資を下押し ― GDPを▲0.9%押し下げるインパクトに ―

2022年12月28日 北辻宗幹


為替レートが急激に変動。2022年初に1ドル=115円前後で推移していたドル円レートは、11月に150円台と1990年以来の円安水準に。その後は、日米の金融政策を巡る思惑などから130円台へ円が急反騰。2022年のドル円レートのレンジ(高値と安値の差)は37円と1986年以来の大きさに。

為替レートの急変動は、為替レート予想の不確実性を高め、企業の意思決定に影響を与える可能性。日銀短観によれば、足元にかけて想定為替レートのばらつきが企業間で拡大しており、その標準偏差は過去20年の平均と比べて2円近く上昇。2008年のリーマン・ショック時や、2013年の大規模な金融緩和政策の導入時と比べても、足元の為替レートの不確実性が大幅に高まっていることを示唆。

為替レートの不確実性の高まりは輸出や設備投資を下押しする傾向。新規輸出を計画していた企業は、為替レートの予想が困難になると採算や先行きの海外販売を見通しづらくなるため、為替レートが見通せるようになるまで、新規案件・大型案件に躊躇する可能性。輸出の見通しが困難になると、設備投資の実行も見送る傾向。実際、試算によると、想定為替レートの標準偏差が1円大きくなると、輸出計画は▲3.2%ポイント、設備投資計画は▲3.8%ポイント減少。

日銀短観の2022年12月調査では、今年度の輸出計画と設備投資計画はともに例年に比べて高い伸び。もっとも、実態は為替レートの不確実性が輸出計画を▲2.6%ポイント、設備投資計画を▲2.7%ポイント下押ししている可能性。これは経済成長率を▲0.9%程度押し下げるインパクト。今後も為替レートの不確実性が高い状態が続けば、景気回復の勢いを削ぐことに。


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