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リサーチ・アイ No.2022-049

円安による貿易収支の黒字効果は消失 ― 実需面の円売り圧力を招きやすく ―

2022年10月18日 北辻宗幹


今次局面では、円安が進行するとともに貿易赤字が拡大。これは、円安がラグを伴って貿易収支を黒字化させた過去の関係とは逆。理論的には、1%の円安による輸出の増加率と輸入の減少率の和が1%を超える場合、貿易収支は改善(マーシャル・ラーナー条件)。試算によれば、2000年代と異なり、2010年代は円安が貿易収支を悪化させる効果。円安が進行すると貿易赤字が拡大し、実需面からの一段の円安圧力を高める構図に。この背景として、以下の2点が指摘可能。

第1に、円安による輸出数量の押し上げ効果が低下。円安には、外貨建て輸出価格の引き下げを通じて、輸出数量を増加させる効果あり。もっとも、その効果が近年低下。試算によれば、1%の円安が輸出数量を押し上げる効果は2010年代に0.1%程度と、2000年代の4分の1に。なかでも、機械類の押し上げ効果が大幅に低下。この一因として、低付加価値品の生産拠点の海外シフトとともに、わが国で生産する輸出財の高付加価値化が進展したことを指摘可能。価格競争に巻き込まれにくい財が輸出の中心になったことで、為替変動が輸出数量に与える影響は限定的に。

第2に、円安による輸入数量の押し下げ効果が低下。円安には、円建て輸入価格の引き上げを通じて、輸入数量を減少させる効果あり。もっとも、その効果も近年低下。世界供給網の広がりで価格変動の影響を受けにくい部材の輸入が増加したことなどが背景。


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