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2022年09月01日

各位

株式会社日本総合研究所


既設インフラ活用などによる流域全体の治水対策の研究会を設立

~ダムの治水・発電併用やデータ連携を起点に、災害から地域を守り、 地域振興も目指す官民連携のモデルを検討~



 株式会社日本総合研究所(代表取締役社長: 谷崎勝教、本社: 東京都品川区、以下「日本総研」)は、年々激甚化が進む水害への対策として、流域全体に点在する既設インフラの活用や気象・河川情報をデジタル技術で連携させることによる治水方法を検討する「流域DX研究会」(以下「本研究会」)を設立しました。
 2022年度は、既設のダムの多目的利用のほか、デジタル技術活用による治水・利水の一体化などについて検討を行います。日本総研は本研究会の活動を通して、気候変動によって激甚化する水害に対し、財源や人材がますます不足していく中でも可能な治水対策を講じながら、豊かな河川という日本らしい自然インフラを活用した豊かな生活の実現を目指します。

■背景
 狭い国土を急な勾配で流れ下る日本の河川は、降雨による増水が短時間で発生しやすい特徴があります。そのため日本は歴史的に水害が多く、昨今では気候変動の影響によって各地の水害が激甚化しています(注1)。これからの水害対策は大規模なものとならざるを得ませんが、一方でそのための財源や人材は限られているのも事実です。
 こうした状況の下、政府の治水施策は、ダムや調整池などを新たに整備することによる「総合治水」から、既設インフラの活用や住まい方の見直しなど流域のありとあらゆる関係者が取り組むことを意図した「流域治水」に大きく転換が進んでいます。2021年には、9つの関連法を一斉に改正する流域治水関連法が成立し、全面施行されました。
 上記の改正によって、企業が管理するダムや住民が保有・管理する田んぼなどの既設インフラについて、治水利用に協力してもらうことが期待できるようになりました。一方で、企業や住民にとってはインセンティブが見えづらく、積極的な取り組みを阻む原因となっています。また、河川管理やダム管理、避難情報の発出主体などの管轄がそれぞれ異なるため、流域単位での情報連携や活用が十分とはいえないことも大きな課題となっています。

■活動概要
 こうした状況を踏まえ、日本総研は、民間企業(治水施策への投資などの検討)、自治体(地域およびインフラに関する課題の提示から解決策の共同検討)、研究機関(気象予想やダム運用技術などについて最新の研究知見の提供)などが参加する本研究会を設立し、具体的な流域を対象に以下の検討を行います。

①既設インフラの多目的化(ダムの治水・発電の併用)
 流域における貯水ポテンシャルの大きいインフラの代表としては、洪水調整用に国・自治体が保有する治水ダムのほか、民間企業が発電用に保有・管理する利水ダムが挙げられます。しかし、洪水に備えて利水ダムの水位を下げておく場合、発電量が減るなどのリスクを民間企業が引き受けなければならなくなるため、治水利用への参加が進まなくなることが懸念されます。
 そこで本研究会では、治水施策への協力を行う民間企業などへのインセンティブ施策の一つとして、治水ダムの発電利用に関するメリットを享受できるモデルの検討を行います。また、国・自治体が売電で得られる収入を原資とした、ダムのメンテナンスを充実させることによる治水効果の維持・向上や地域振興への活用といったメリット創出についても検討します。

【2022年度の主な検討項目】
・ ダムの治水・発電の併用による、事業性や運用方法、想定リスクの整理・対応策、関係者の役割分担
・ 流域の既設ダムの発電利用や小水力発電、ダム空間の活用などによって財源を確保することによる、上下流域の水位計測や流入量予測システムの導入や、治水、流木処理、土砂処理、森林管理などの実施。また、それらによる流域の価値向上・インパクト評価の実施
・ 主に国や自治体が管理してきた治水ダムをはじめとする既設ダムについて、民間投資の活用によって治水・水力発電を両立させる官民連携の事業スキーム
 など

②デジタル技術活用による治水・利水の一体化
 流域における河川やダムの水位や上下流域に関する情報を連携させ、治水・利水が一体となった取り組みを可能とする情報システムの検討をします。
 第一段階では、上記①で挙げた治水ダムの発電利用におけるリスク軽減策を対象とします。治水ダムでは治水効果の観点から低水位の維持が必要であり、治水効果を損ねずに発電を行うにはダム上下流域の状況や降雨予測、ダムへの流入量予測などの精緻な情報に基づいた適切な運用が求められます。センシングやAIなどのデジタル技術を駆使した最新の気象予測技術や河川への流入量予測等の活用による、治水・利水の効果を確保する方策を検討します。

【2022年度の主な検討項目】
・ ダム上流域からダムを通じダム下流域に至るまでの情報(気象・ダム流入量・水位予測など)に基づく、治水ダムの発電・治水相互運用の促進
・ ダム下流域から生活圏における、上流域で取得した情報を活用した河川水位予測や付加価値サービス(迅速な避難・危機意識醸成に寄与するサービスイメージやダム以外のインフラ活用イメージなど)の構想
 など

■本研究会のメンバー構成
 民間企業、自治体(鳥取市など)、研究機関、学識経験者 ほか

注1: 2018~2020年度における水害被害額は以下のとおり(国土交通省)。
   2018年度: 約1兆4050億円(統計開始以来最大)
   2019年度: 約2兆1800億円(統計開始以来最大)
   2020年度: 約6500億円(山形県、熊本県、大分県において統計開始以来最大)


■本件に関するお問い合わせ先
【報道関係者様】 広報部        山口  電話: 080-7154-5017
【一般のお客様】 創発戦略センター   石川  電話: 090-4628-5227

 
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