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【先端技術リサーチ】
システムズエンジニアリングの概説と動向 ~Society5.0へ向けた取組を支える手法と知識体系~

2022年08月08日 先端技術ラボ 市原紘平


本レポートでは、システムズエンジニアリングについて、その概要と国内での研究・政策等の動向をまとめた。

システムズエンジニアリングとは「システムを成功させるための複数の専⾨分野にまたがるアプローチと⼿段」[1]とされ、元来、宇宙・航空分野を中⼼に発展し、欧⽶では⼀般的な製品やシステムへの適用が進んでいる。近年、先端技術を社会実装し、社会へ価値を届けるためのアプローチとして国内でも政策等への取り込みが見られる。特に重要な概念として、要求として何を設定すべきか不明瞭な状態や⾼度に複雑な社会課題に対し用いられる「アーキテクチャフレームワーク」(アーキテクチャを先⾏して適切に検討するための⼿法・思考の枠組)や、それに基づき作成されたテンプレート的な意味合いである「レファレンスアーキテクチャ」がある。

国内での活用事例としては、政府の掲げるSociety5.0[2]に関してレファレンスアーキテクチャが策定されたことをはじめ、「スマートシティ」、「パーソナルデータ(信頼できるデータ流通)」、「企業間取引の即時・多頻度の契約とそれを⽀える決済」といった個別のビッグテーマについてもレファレンスアーキテクチャが策定されている。国内での活動はIPA内に設置されたDADC(Digital Architecture Design Center)が中心となっており、重要テーマについてプロジェクト化してアーキテクチャの整理・構築を進めている。

政府がSociety5.0実現を進展させる上での基盤の考え方の1つにシステムズエンジニアリング(によるレファレンスアーキテクチャの策定)があり、DADCを中心に研究・実装が進んでいる。これらの動きを確りと理解し、政府の描くデジタル社会の姿や、競争領域と協調領域(政府による介入のある領域)を明確に把握することは、デジタルビジネスの検討にとって重要である。技術的には、重要領域である「異なる事業者の情報システム間のデータ連携」や「信頼できるデータ流通」といったテーマを実現する、認証・認可、セキュアなAPI(FAPI)、秘密計算といった分野が重要である。


[1]JCOSEによる定義。JCOSEとはシステムズエンジニアリングの定義、理解、実践を進める国際⾮営利団体INCOSEの⽇本⽀部。

[2]Society5.0:サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を⾼度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両⽴する、⼈間中⼼の社会(Society)。(内閣府より)



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