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【北京便り】
中国、再生可能エネルギー14次5カ年計画が公表

2022年06月28日 王婷


 6月1日、中国の国家発展改革委員会をはじめとする9つの政府部門が共同で「第14次5カ年再生可能エネルギー発展計画」を公表しました。この計画では、①2025年に再生可能エネルギー(以下、「再エネ」という)消費量を標準石炭換算で10億トン前後にすること、②一次エネルギー消費量に占める割合を18%前後にすること、③再エネ年間発電量を3兆3000億kWh前後にし、再エネ発電量の増加量が社会全体の電力消費量の増加量に占める割合を50%以上にすること、④再エネ電力量と非水力発電利用をそれぞれ33%前後、18%前後に達成すること、という数値目標が掲げられました。今回は、初めて消費側の再エネ導入目標についても定められた点も特徴です。中国各地の電力消費量に占める再エネ由来の電力比率を2025年末までに33%前後に引き上げるという数値目標です。
 ③として記した「2025年末時点の目標値を3兆3000億kWh(キロワット時)」という規模は、2020年第13次5カ年計画の終了時点の5割増しであり、2021年末と比較して残り4年間で33%増やす計算になります。「こんなにたくさんの再エネを作れるか」、「どこで作るか」、「課題は何なのか」と中国国内においても、非公式には疑問の声が耳に届きます。

 ただ、中国では、2009年以後の再エネの大規模導入と技術進歩により、導入コストが確実に下がっています。太陽光発電は10年前と比べ発電コストが90%減っており、例えば、青海市ではkWhあたり0.2元、四川省ではkWhあたり0.1元のような水準で、石炭火力とほぼ同じ値段で系統に販売することができるようになりました。風力発電も同様で、国産化に伴い、コストの低下は顕著で、系統売電額はkWhあたり0.4元になっています。
 コストさえ下がれば、太陽光発電と風力発電は施設開発に要する期間が短くて済むため、原子力発電や火力発電より大規模な開発を有利に進めることができます。カーボンニュートラル実現の目玉政策として、昨年から中国政府は「再エネを主体とした新型エネルギーシステムの構築」を加速し、火力発電をメインとした電源システムを、再エネを主体とする電源システムへと転換を図ろうとしています。
 中国の西部や北部には、広大な砂漠が広がっており、太陽光と風という資源が豊富です。これらの地域は今後、大規模な再エネ基地となるでしょう。また、中国の東部沿海地域には長い海岸線があり、大規模な洋上風力を導入できる余地があります。

 ただ、「再エネを主体とした新型エネルギーシステムの構築」を最終的に完成させるためには、現在の技術レベルでは実現が難しく、これから新技術の開発と導入が必要になります。
 例えば、上述したように再エネ適地は北部や西部に集中し、電力需要が旺盛なのは東部沿海地域です。このため、送電網で電力を送ることは欠かせません。これまで送電網の容量が足りず、せっかく発電された再エネ発電が放棄されたこともしばしばありました。このような問題を解決するため、14次5カ年計画においては、送電線敷設の強化とともに、再エネをそのまま西部から東部に輸送する技術を大規模に導入する構想も盛り込まれました。具体的には、国家電網が新型直流送電技術を生かし、洋上風力や遠方にある太陽光発電で発電した電力を需要地域に送る技術の検討を進めています。
 また、出力が不安定な再エネ発電を主体とする電力システムの信頼性を保つためには、これまでの送電網の強化だけでなく、再エネ発電所側での安定的出力確保のための技術も必要となってきます。例えば、出力効率を予測する技術やバーチャル発電機などの設備が有望です。

 蓄電も重要です。現在、蓄電技術としては、揚水発電が90%を占めており、化学的蓄電は9.2%にとどまっています。再エネの成長を促すために、現在、各地方政府は、再エネ発電を整備する場合に必ず蓄電施設の付帯建設を求めており、平均的には10%以上、2時間上の発電能力分の蓄電が必要と定められています。中国の研究機関の予測によると、2030年には蓄電設備規模は1億kW以上になるといわれています。
 再エネを主体とするエネルギーシステムへの転換にともない、関連技術の研究開発や応用が大規模に行われ、エネルギーの転換効率やコスト低減がさらに進むことに、中国は自信を深めているといえるでしょう。


※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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