リサーチ・フォーカス No.2022-016 原油の供給不足は長期化の懸念 ―原油価格がさらに上昇する可能性も― 2022年06月17日 松田健太郎原油供給が不足していることを背景に、価格が高止まっている。原油需要の伸びに対して、産油国の増産ペースは緩やかにとどまっている。これには原油の能力増強投資が不足しているほか、コロナ禍で産油施設のメンテナンスが不足している点などが背景にある。西側諸国によるロシア産原油の禁輸措置も、供給不足への懸念を強めており、価格高騰につながっている。西側諸国のロシア産原油の禁輸分は、本来、主要産油国による増産などで代替することが可能である。もっとも、OPECプラスは大幅な増産に対する慎重姿勢を崩していないほか、米国のシェールオイルについても、投資家からの財務規律の要請や操業コストの上昇が足かせとなり、増産ペースは緩やかにとどまる公算が大きい。原油供給を巡る不安感は今後も根強く残ると考えられる。 中期的にみても、世界的な脱炭素の潮流が強まることで原油の能力増強投資が一段と抑制されることから、再生可能エネルギーの普及などで原油需要が減少しない限り、需給の逼迫で価格が一段と上昇する可能性がある。不安定な需給バランスが続くもと、今後の原油の供給能力や代替エネルギーの普及を巡る展開を注視する必要がある。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)