2022年01月11日
各位
株式会社日本総合研究所
株式会社バーチャルウインドウ
車載コンテンツ高度化時代における車内空間プロトタイプの限定公開開始
株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 谷崎勝教、以下「日本総研」)および株式会社バーチャルウインドウ(本社:東京都千代田区、代表取締役: 佐藤 塁、以下「バーチャルウインドウ」)は、自動車がインターネットに接続され、車室内のHMI(Human Machine Interface)機器が高度化する、近い将来の車内空間を体験できるプロトタイプ(以下「本プロトタイプ」)を製作しました。
本プロトタイプは車窓ディスプレーを通じてAR映像を実際の景色に重ね合わせるなどさまざまなコンテンツを体験できる環境とし、本プロトタイプを活用することで近未来の車載コンテンツの魅力検証等を行うとともに、2020年代半ば以降に創出されることが見込まれる車載コンテンツによるサービス市場におけるエコシステム構築を進めます。本プロトタイプは、サービス市場形成に関心を持つ自動車業界内外の関係者に向けて限定的に公開します。
◆車載コンテンツ高度化に向けての現状と課題
自動車は、インターネットに接続することでさまざまなソフトウエアの活用が可能な製品になりつつあります。また、ディスプレーやオーディオ機器など車内に搭載されるHMI機器がさらに高度化することが想定されています。そのため現在、多くの自動車メーカーや自動車部品・素材メーカー等が、自動車の車内での映像や音響などのコンテンツのあり方について検討を進めています。
こうした車載コンテンツは、今後、それ自体として売買され新たな市場を形成する可能性や、車内空間のあり方を変える可能性を秘めています。従来の自動車関連メーカーだけでなく、コンテンツ制作者や、商業施設など移動の目的地になりえる事業者など多くのプレーヤーを巻き込むエコシステムが新たに形成される可能性があります。
しかし、車内にてどのようなコンテンツが魅力的なのか、どの程度魅力があるのかについて十分な検証は行われておらず、エコシステムのあり方についても共通認識が醸成されているとはいえません。また、多様な車載コンテンツが活用可能な状況を創出するには、コンテンツの開発や配信を担うミドルウエアシステムが不可欠ですが、そのようなミドルウエアの構築が進んでいるわけではありません。
車載コンテンツの魅力検証やエコシステムの検討、ミドルウエアの構築が進まないのは、近い将来における車内空間での体験イメージが関係者で共有できていないためと考えられます。高度なHMI機器を搭載しインターネットに接続した状態の自動車に関する共通認識の醸成が必要です。
◆本プロトタイプの特長
日本総研とバーチャルウインドウは上記の認識のもと、本プロトタイプを製作しました。本プロトタイプは、車室の前方半分(現在の一般的な乗用車の運転席・助手席より前側の部分)から成り、AR映像が表示可能な車窓ディスプレーや立体音響機器等を備えます。車窓や天井面には、実際に車両で道路を走行したときに360度カメラで撮影した映像を投影し、本プロトタイプに「乗車」することで、実際の車両走行時と同様の体験をすることができます。
本プロトタイプは、下記のようなシステム面での特長を備えます。
車窓の景色へのAR映像の重畳表示システム:
バーチャルウインドウが独自に開発したAR技術を用いて車窓に見える建造物等にAR映像を重ね合わせることができます。例えば、オフィスビルの陰からARのキャラクターを登場させることが可能になります。この機能は、本プロトタイプでの車窓ディスプレーに表示する映像にて活用できるだけでなく、今後実際に走行する車両の車窓にて活用することができます。
立体音響制御システム:
本プロトタイプに搭載する立体音響機器を活用し、360度全方位からの音響を実現します。例えば、特定の店舗から特定の音楽が聞こえてくるような制御が可能になります。この機能も今後、市販されている車両のオーディオ機器に適応することで、実際に走行する車両にて活用することができます。
周辺の対象物検知システム:
自車両周辺の様子をカメラで撮影することで、周辺の他の車両、歩行者、自転車などの物体を識別し、その物体に映像や音響制御を加えることができます。例えば、対向車線の乗用車を検知し、ドライバーに注意を促すよう乗用車の周囲を発光させることが可能です。この機能も、今後実際に走行する車両にて活用することができます。
表情分析システム:
乗車している人物の表情をカメラで撮影し分析することで、その人物の感情の状態に応じてコンテンツを制御することができます。例えば、特定の感情のときにコンテンツを表現するという制御が可能になります。この機能は今後、体温や心拍などの各種バイタルサインと組み合わせることでさらに精緻化し、実際の走行する車両にて活用することができます。
以上のようなシステム面での特長に加え、本プロトタイプにて表現するコンテンツは、将来的なエコシステムに関わるプレーヤーとの連携により企画・制作しました。今後、車載コンテンツ制作を担うと考えられるのは、映像制作や空間デザインにたけたプレーヤーであると想定されますが、本プロトタイプでは、日本総研やバーチャルウインドウのほか、松竹株式会社、株式会社ダイナモアミューズメント、株式会社プラプラックスがコンテンツを制作しました。また今後、車載コンテンツにより便益を享受するのは旅行会社など移動関連のサービス事業者や商業施設など移動の目的地を有するプレーヤーであると想定されますが、本プロトタイプでは、大手旅行会社の株式会社エイチ・アイ・エスや大手商業施設運営事業者とともにコンテンツのコンセプト検討を行いました。
◆今後の見通し
本プロトタイプによる車載コンテンツの魅力検証やエコシステム検討を、2021年7月に設立した「DUAL MOVEコンソーシアム」(以下「本コンソーシアム」)にて行います。今後、アルプスアルパイン株式会社、積水化学工業株式会社、TPR株式会社、テイ・エス テック株式会社など10社程度の本コンソーシアムメンバーを中心に、さらに多くのプレーヤーを巻き込んだエコシステムの構築を進めます。2022年度は、本プロトタイプによる検証や検討に加え、特定地域で走行する車両での実証を行う予定です。
また、上記の特長を備えたシステムは、対象者の視点の位置と車窓の風景に合わせてXR映像を制御するバーチャルウインドウの技術をもとに構築しています。今後このシステムを、実際の車両における車載コンテンツの開発や配信を担うミドルウエアに発展させるべく、周辺システムの開発や整備を行います。2022年度の実証活動等を通じて、自動車メーカーなど従来の自動車産業の関係者はもちろん、映像制作や移動関連のサービス事業者などエコシステムへの新たな参画者にとっても、使い勝手の良いシステムを構築いたします。
◆本年度の本プロトタイプ概要
本プロトタイプは、下記の要領で関係者向けに限定的に公開します。
・設置場所:日本総研 東京本社
・設置期間:2022年1月11日~2022年2月28日
・体験可能な方:車載コンテンツの将来の可能性に関心のある本コンソーシアムメンバーやモニター、
報道関係者など
◆本件に関するお問い合わせ先
日本総合研究所
【一般のお客様】創発戦略センター 程塚 メール:hodotsuka.masashi@jri.co.jp
【報道関係者様】広報部 鳥山 電話:080-9655-9493
バーチャルウインドウ
佐藤 メール:info@virtualwindow.net