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リサーチ・アイ No.2021-053

看護師賃上げの原資は労働分配率の引き上げで

2021年11月25日 成瀬道紀


岸田政権は、2022年2月から同年9月までコロナ医療を担う医療機関の看護師等の賃金を1%(月4,000円)程度引き上げる方針。財源は暫定的に全額公費(2021年度補正予算)で賄われる予定。今後、対象者と引き上げ幅の拡大、および、その恒久化が議論される見通し。就業する全ての看護師・准看護師(152万人:2018年度衛生行政報告例)の賃金を3%(月12,000円)程度引き上げる場合、年間約2,200億円の財源が必要に。恒久化に向けては、安定財源として診療報酬の引き上げが検討される可能性。健康保険料の上昇にも。

一般論として、就業者の処遇改善は正しい方向性。もっとも、そもそも民間の特定職種の賃金に政府が直接関与することの妥当性に疑問が残るうえ、仮に引き上げるとしても、その原資は追加的な財源投入ではなく、既存のパイのなかで労働分配率の引き上げが優先されるべき。第1に、わが国の医療福祉産業の労働分配率は、国際的に低水準。背景としては、わが国の医療機関による病床や医療機器への過剰投資が指摘可能。2025年度を目途とした病床再編である地域医療構想の一段の促進、および、医療機器への投資適正化など、資本分配率の引き下げと労働分配率の引き上げこそが肝要。

第2に、追加的な財源投入には深刻な副作用を伴うことに十分な留意が必要。赤字国債に依存した公費投入となれば、極めて厳しい状況にあるわが国財政を一段と圧迫。診療報酬の引き上げは、財政への負荷をかけるほか、社会保険料の上昇を通して、主に勤労世帯の可処分所得減少と消費縮小の悪循環を招来する懸念。

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